ソフトウェアの関税についての考え方

ソフトウェアの関税は、そのデータが入っている「媒体」(キャリアメディア)に対してかけられます。例えば売価10000円のソフトウェア(DVDやCD等)があるとし、そのうち、媒体分であるDVDやCDが100円で、インボイスの中で9900円となるソフトウェアの情報そのものと区別されていた場合、関税は媒体であるDVDの100円に対してのみかけられます。

これは「関税」が、形のある「もの」が国境をまたいで動いたときのみに課せられるものだからです。将来、この考え方が変わる可能性もありますが、現時点では、無形のものについては関税が課せられることはありません。但し、関税以外の形で税金がかけられることもありますので、ソフトウェアを輸出する場合には、国ごとに確認の必要があります。

ソフトウェアは「情報成果物」とも呼ばれますが、これに対しては、関税はかけないという国がほとんどです。ただ、実際には媒体とソフトウェアの中身であるデータとを区別せずにインボイスに記載しているようなケースも多く、この場合は媒体とソフトウェアの合計に対して一括で関税がかかってきます。

つまり、ソフトウェア1万円(CIF価格)をそのまま通関用のインボイスに記載して輸出した場合には、ソフトウェアはそれが記録されている媒体(物)として現地にて輸入申告され、このときの価格が1万円とみなされます。媒体が100円のものであり、インボイスの中でその媒体と、ソフトのデータ自体を切り分けて書くだけで、関税は大きく下がり、過大納税を防ぐことができます。

ちなみに、ソフトウェアの定義は関税定率法の基本通達4-5にも記載がありますが、「データ処理機器の運用に関係する計算機プログラム、手順、規則又はデータ処理機器に使用されるデータ」のことをいいます。サウンド、シネマチック、ビデオ・レコーディングは含まないと明記されているので、プログラムである必要があります。

ソフトウェアが記録されている媒体(キャリアメディア)の価格は、この媒体自体の価格だけでなく、記録するための費用も含みます。例えば、大量生産でDVDにソフトウェアを焼き付けているものとした場合、DVDそのものの価格に、データを書き込んだ費用・諸経費もオンしておく必要があります。

いずれにせよ、ソフトウェアに通常の売価だけしか記載せずに輸出もしくは輸入してしまうと、その売価に関税率がかけられてしまうため、関税額が大きくなってしまいます。