トレーシング|FTA、EPAの付加価値基準のコスト算定

付加価値基準(VAルール)を計算する際に適用することがある考え方の一つで、原産性を上げるために使うことが出来る救済規定の一つでもあります。

ロールアップでは非原産の材料が含まれる原産部品(原産資格を持つ部品)でも、原産部品全体の価格を「原産材料の価格」として計算することが出来ました。反対に、ロールダウンでは、原産材料が含まれる非原産認定の部品(非原産資格の部品)は、含まれている原産材料の価格を最終製品の原産割合計算の中に含めることが出来ませんでした。トレーシングはこのロールダウンの救済版とでも言うべきもので、非原産に認定された部品に、少しでも原産材料が使われている場合、その原産材料のコストを部品価格から差し引いたものをこの非原産部品の全体価格とすることが出来るというものです。

このトレーシングの規定を採用した日本のEPAは以下の国との協定になります。

  • メキシコ
  • マレーシア
  • インドネシア
  • ブルネイ
  • フィリピン
  • スイス
  • ペルー

ただし、この手法は計算や証明にコストや手間もかかることが想定されます。複数の会社から部品や材料を購入している場合、それらの中間材料も自社で内製しているのであれば、トレースも可能かもしれませんが、複数のメーカーが入ってくると厳密に適用させるのはなかなか難しいルールです。