協定や条約における発効日と締結日の違い

FTAやEPAなどの協定を活用する為には、その協定がすでに「発効」している必要があります。締結が完了した協定を即適用できるわけではなく、中には発効が完了しないまま、何年も保留となっている場合もあります。発効していない条約や協定はまだ有効になっていないということです。

通常は、締結してから発効までに間があるため、実際に発効しているかどうかの確認が必須です。特に、多国間協定、例えばASEANと他国(他地域)との協定は、ASEAN加盟国が個別に発効を行う為、発効日はすべての国でずれていることもあり、中には特定の協定については締結したものの発効に至っていない国があります。多国間協定の場合は、締結主体がいつ発効したのか、個別に調べておく必要があります。

また、協定内で指定した品目については一定の年数をかけて税率を低減していくというタイプのルールを設けている場合は、「発効日」から適用が可能となるケースがほとんどです。例えば2012年8月1日発効日のもので、5年後に関税撤廃、それまでは毎年均等に税率を下げていく、というルールの場合は、1年目の低減税率を使うことができるのは2012年8月1日からです。そして1年目からもう1ランク税率の下がった2年目の低減税率が適用されるのが、2013年1月1日からになります。5年かけて撤廃という場合は、2017年1月1日から関税がゼロになります。

日本以外の国家間、地域間同士の協定を調べる場合、当該国の外務省や貿易省、商務省や通商交渉を担う行政組織が発表している締結情報と発効を情報を区別して考える必要があります。

「signed」とされているものは、署名(批准を含むこともある)したことを意味しますが、厳密には締結した日付といえます。締結した後、即発効というパターンはこれで協定が有効となります。

WTOの場合、発効されているものについては慣習的に「in force」という表現を使います。また国によっては「in effect」という言い方もなされますので、こうした表現が使われている箇所から「発効日」を知ることが出来ます。「発効されているかどうか」「いつから発効しているか」はFTAやEPAなどの関税減免措置を受ける場合には最初に確認しておくべき事柄といえるかもしれません。