枠組み協定とは

「枠組み協定」とは正式な協定を結ぶ前にルールを定めるものです。国によっては暫定FTAや暫定EPAといった形で、枠組み協定によるFTA、EPAと同じような協定を意味する場合もあります。

貿易協定や通商協定は、通常、正式な協定を結ぶまでの協議や交渉には時間がかかります。というのも、双方ともに譲りたくない部分や譲歩することで国益にならない部分が必ずあり、単純にトレードオフによって交渉が成立しないからです。一般には早くても2年程度、5年以上交渉しているケースも珍しくなく、政治的な理由で中断してしまうことすらあります。

そこで実際の貿易上の需要を考慮し、先に「枠組み」協定を締結することにより、双方が最も切迫していたり、双方のコンセンサスが得られている工業品項目の関税減免などについて部分的なものから協定を結ぶことで、「早期収穫」(Early Harvest)できるようにしたものが、この枠組み協定の本質です。アーリーハーベストは枠組み協定以外でも使う手法ですが、とにかく両国での貿易増進によって利益をもたらすために先に締結しておき、交渉が難航する部分についてはじっくりと時間をかけて行っていくということが可能になります。

こうした背景があるため、基本的には「枠組み協定」は正式な協定が締結されるまでの過渡的な存在でもあります。いずれ条件が整い、交渉が成立すれば枠組み協定から正式な協定となりますが、中にはもう長いこと枠組み協定のまま運用されている自由貿易協定や経済連携協定もあります。