EPA(経済連携協定)におけるHSコードはどこで決められるのか

経済連携協定やFTAを用いる場合、物品のHSコードの特定が非常に重要な要素となります。HSコードによって関税率が決まり、何らかの貿易協定で関税の減免が可能かどうかもHSコードによってルールや減免率が変わるからです。

FTAやEPAが適用可能かどうかは、まず輸出する物品のHSコードが何番になるのか、輸入側に確認をすることからはじまります。

通常は通関業者、輸送業者(フォーワーダー)を通じて、現地のHSコードを調べてもらいます。国によっては事前教示制度といって、その国の税関が前もって何番のHSコードになるのか教えてくれる制度もありますので、公式にはこれを使うことが推奨されています。

ただし、実務上は先進国に対しての輸出でHSコードが変わる事で関税額が大きく変わってしまうような場合はこうした制度が活用されますが、開発途上国や事前教示制度がなかったり、あったとしてもその内容が輸入申告時に尊重されないような場合は、事前教示制度ではなく、現地の通関事情に精通した輸送業者を通じて現地HSコードを確認することになります。

こうして現地での輸入申告時に用いるHSコードがわかれば、そのHSコードのEPA税率と原産地規則が確定しますので、適用可能かどうかの判断を行っていくことになります。

なお、このように事前に下調べしても実際に現地で輸入申告する際には別のHSコードを割り当てられ、協定による関税減免を受けられないこともあります。こうした場合は、あとでそのHSコードに対応する特定原産地証明書を持参して手続きすることで、関税還付が可能な国もありますが、ほとんどの国では関税還付手続きが困難であったり、煩雑である等の理由で一度支払った関税をあとから返してもらうことが難しくなっています。

こうしたHSコードの差異を指摘され、EPA税率が適用されなくなった場合、納期が許すのであれば、輸入申告を保留して税関に留置き、急いで別のHSコードにて判定申請を行った特定原産地証明書を送りなおす、という方法もできますが、日本以外の国同士の自由貿易協定のなかには同じ物品に対して複数のHSコードでの申請が不可能な協定も存在しますので、HSコードの確認と確定には細心の注意を払う必要があります。