返信先: form DでのHSコード違い


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ASEAN加盟国10カ国の間で貿易する場合、form DをつけることではじめてASEAN内での関税が無税になったり、減免されたりしますが、その運用ルールについては各国で結構差があるという話を聞きます。ASEANはそもそも関税同盟ではなく、通関行政もEUのように共通化しているわけではないため、国によってform Dの発行や運用に、独自ルールを加えている部分があるように思います。

form Dは同一品に対しては、HSコードを変えて発行することが難しい例が多いです。別品目という扱いならば可能性はありますが、構成材料のHSコードから変えねばならない場合もあるため、仕入先によっては断られることがあります。

おっしゃるとおり、一度通関実績をつくってしまったものを、あとからHSコードを変えて通関するとなると、税関からの指摘次第では、追徴金を課せられたりする例もあると聞きます。まったく別品目という形で、仕切り直すことができないのであれば、HSコードを変えるのは難しいと思います。特に、関税が変わるような場合で当局の税収減少につながる場合は、あとから追徴金の可能性があることも念頭においておくとよいかと思います。

また厄介なのが、同じ品物をたとえば、タイ、インドネシア、ベトナム、フィリピンでやり取りした場合、実際に通関時にはすべての国で違うHSコードがつけられてしまう、ということが割りと珍しくない点です。

同じ製品について、仕向け国が違うから、という理由でHSコード違いのform Dを新たに発行することを認めていない国もあります。日本はこのあたりが無条件でOKになっているため、なかなかイメージがつきにくいですが、発給機関がHSコード自体に介入してくることがあるため、輸出者(form D発行申請者)の思うようにならないときもままあります。

新規に、輸出・輸入を開始する前には、関係者間でそれぞれの国でどのHSコードを用いる予定なのかを確認しておく必要があります。何らかの問題、罰金等が発生しても支払うのは輸入者になるため、HSコードは輸入者が決めた番号で申告を行い、その国の税関がその番号を輸入申告のたびに判定する、という形になります。

同一品を複数の国に出す場合で、輸入側のASEAN複数国でHSコードが統一できない場合は、製品番号や品番を変えるなどして、仕向け国ごとに別の製品の扱いとするといった方法も使われることがあるようです。