MFN関税率

通常適用される関税率はこのMFN税率のことで、WTO加盟国160か国からの貿易についてはこの税率が適用されます。
別名、WTO協定税率ともいいます。MFNはMost Favoured Nation Treatmentの頭文字から取ったもので、最恵国待遇のことです。これは、関税などについてWTO加盟国で同じ条件を適用すべしというルールで、WTOに加盟した場合、加盟国間での貿易で適用される税率です。現在、世界のほとんどの国がWTOに加盟しているため、事実上「Most Favoured Nation」ではないという指摘もありますが、慣習的にMFN税率呼び習わしています。なお、2012年8月にはロシアもWTO加盟を果たしたため、従来から段階的自国の関税率を下げていくことになりました。

たとえば、国の関係が悪化したからといって、ある国からの輸入品の関税だけを差別的に上げることはできません。関税率は上げるにしても、下げるにしても、他の国すべて平等に適用させる必要があります(関税の下限は0ですが、設定可能な上限についてもWTOでは取り決めています)。セーフガードなどを用いて関税を一時的に上げる仕組みを存在しますが、MFNの原則というのは、WTO加盟国間で差別的な扱いをしてはならないというものですので、A国に適用した税率はB国にも適用する必要があります。ただし、この例外がこのサイトで取り上げている自由貿易協定、経済連携協定、特恵貿易協定などの地域間貿易協定による関税の減免です。この場合は、協定を結んだ国同士だけに適用可能な関税率を自由に設定できますが、貿易協定自体に、他の貿易協定が安い税率を適用されている場合は、そこまで税率を引き下げるといった条項を設定されているものもあります。

以前はWTOの場にて加盟国すべての関税率を下げようとする動き、すなわちMFN税率を一律に下げていく動きもありましたが、加盟国が増え、それぞれの国の産業や経済構造が異なるため、すべての国で合意を得ることが不可能になったため、各国が個別に自由貿易協定(FTA)などを結び始めました。

なお、余談ですが米国ではMFNのことをNTRと呼び習わしています。