プロフィール

工業製品メーカーで、関税をはじめとする貿易コストの算出、関税プランニング、貿易協定の調査・適用検討、EPAの判定申請、発給申請を担当しています。

原価低減をはじめ、コスト削減を検討する場合、貿易の面では輸送費や梱包費等についてはよくテーマに上がりますが、輸入国側で支払う関税や諸税は、ときに輸送費をはるかに上回ることがあるにもかかわらず、見過ごされがちです。貿易協定は、企業間の取引では輸出側の利益にならないため、要望がない限り使わない時代もありましたが、昨今ではコスト意識の高まりとともに、取引の条件に組み込まれていることすらあり、もちろん、グループ間の取引でも原価に直接影響してきます。

世界各国をとりまく貿易自由化の動きは、このわずか十数年で激動しており、WTOを通じて加盟国すべてに適用させるような関税低減ではなく、FTA(自由貿易協定)や特恵貿易協定、経済連携協定(EPA)などの条約を関心のある国同士だけで交渉し、関税の低減もそれらの締結国だけで行う、という動きに変わってきています。こうしたそれぞれの国や地域間の協定がゆうに500を超え、スパゲティのように絡み合っているのが今の貿易自由化の姿です。

大型のメガFTAも誕生しつつあり、貿易協定同士が相互に影響し合い、複雑に絡み合っている中で最適な貿易協定をうまく使いこなして貿易を行う必要性がますます高まっています。

このサイトでは、貿易協定を実際に使う側の視点で、基本的なことから実務的な覚書きやメモのようなものまで幅広く紹介していきます。なお、実際の貿易協定を使う際は、必ず原典の協定条文(改訂がある場合は、最新版)にあたることをおすすめします。