航空貨物におけるオフロードの意味

オフロードのもともとの意味は、積載することを意味する「オンロード」の反対語であり、貨物の取卸しのことを指します。ただし、国際物流、特に航空便を用いた貿易にかかわる状況での「オフロード」とは、何らかの事情で貨物がその航空機に積み込めなかったことを指す場合があります。

海外貿易においてエアー便を用いる場合、危険物の輸送やクーリエ(国際宅配便)などを除くと、旅客機による輸送も頻繁に使われます。旅客機の場合、乗客の荷物が優先されることは当然ですが、それらが積み込まれた後にも、空いている貨物スペースにどのような貨物を積み込むかについては優先順位が決まっています。

一般的に、医薬品などの医療品全般、移殖用臓器等医療用のものが最優先となり、救援物資、食料品といった物品が続きます。それらが一段落つくと、商業貨物の順番がまわってきます。この商業貨物の中でも費用を支払うことで、優先順位を上げてもらうことはできますが、先に述べた医薬品、食料品などもともとが商業貨物よりも優先される貨物より上の順位にはできません。

便数が多くある航路や、余力のある大型機が用いられているような場合はオフロードについてあまり神経質になる必要もありませんが、季節的に年末・クリスマスの時期や多くの帰省客などが想定されるような時期だと、貨物スペースの空きが埋まってしまい、商業貨物のスペースが通常の便よりも少なくなっている、ということがあります。地域によっては、文化・人種により、身内が一斉に荷物をもって帰省する、一か所に集まるという風習を持つことがあり、この場合、通常の想定外の手荷物をもって旅客機を利用する乗客もいます。また、季節によって特定の食料品の物流が大幅に増加するような場合も要注意です。

オフロードが発生しても、ただちに輸送リードタイムそのものに影響がないようスケジュールが組まれていることが多いですが、あまりにタイトなスケジュールであったり、オフロードが繰り返し発生してしまうような場合、着荷日そのものにも影響してきます。

特に急ぎのものであるような場合は、専用機をもっているクーリエのような業者を用いたり、フォーワーダーにあらかじめ着荷日が非常に重要であるため、貨物のプライオリティ(優先順位)を上げてもらえるような輸送サービスを用いる方法もあります。

また、航路・便数が限られているような場合で、優先順位を上げても対応が難しそうな場合、陸路での輸送が可能な部分をチャータートラックなどを仕立てて対応する方法もあります。チャーター便は、こちらが指定した貨物の輸送のためだけに手配するので、オフロードは起きません。

コストはあがりますが、欧州圏など陸路での輸送も可能な地域では複数の航空機を利用してオフロードのリスクを高めるよりも、チャーター便を仕立てたほうが有利なケースもあります。特に、日本発ではなく、別の国へ一旦荷物を飛ばしたのち、そこから貨物を積み替えて別の航空便を使うような場合は、要注意です。日本のフォーワーダーにもよりますが、状況により、日本からでは優先順位を十分にあげることができず後回しになることがあります。対して、トラックのチャーター便は、空港で待機していますので、日本からの航空便が届き次第、トラックに積み替え、そこから陸路で運ぶため、輸送リードタイムも読みやすいです。夜通し走るタイプのチャータートラックであれば、輸送リードタイムの総合計はあまり変わらないこともあります。