付加価値基準を使う場合でネックとなるのがこの原産性の証明です。
ある部品や材料が「日本原産」か「協定の相手国の原産品」であるとした場合、それを示す根拠資料が必要になります。
非材料費、たとえばその製品に乗せてある利益や加工賃、設計費用などだけで基準値を満たしていれば、それらを証明する伝票か、見積書等の書類で証明ができますが、原材料や部品について日本原産のものを使っているかどうか、という点まで見ないと基準を満たせない場合は、金額の大きそうなものからその部分の原産性を証明する書類を集めなくてはなりません。
すべてを内製しているような場合であれば、仕入や納品時の社内の伝票のみでも証明可能ですが、ほとんどの工業製品は、部品単位や部材単位で他の企業から「購入」しているため、その購入した部分について「原産」という場合には、購入先メーカーにも利用しようとしている協定の原産地規則を満たしているということを一筆書いてもらう必要が出てきます。
多くのメーカーにとっては、この経済連携協定が何なのか理解できませんし、説明して分かってもらえても、そのメーカーのさらに先のメーカーにも確認が必要なことが多いことから、容易に協力が得られないケースもあります。
価格を構成する上で大きな割合を占めている部分を購入している場合、原産性を証明する方法は以下のようなものがあります。
- その部材のメーカーよりサプライヤー証明書をもらう
サプライヤー証明書がもらえない場合、(1)か(2)のどちらかの書類と、(3)の書類を揃えることになります。※場合によっては(4)も。
- (1)その部品に関する個別契約書がある場合、そのコピーに「付加価値基準○○%」といった具合に、利用しようとしている協定の原産地規則を満たしていることを手書きで追記してもらい、担当者の氏名と部署、連絡先なども書いてもらう。
- (2)個別契約書はないものの、取引基本契約などの大きな枠組みとなる契約が存在する場合は、その契約書のコピーと、注文書のコピーを入手し、注文書には上記と同様に、ルールを満たしている条件を書いてもらい、担当者・部署・連絡先を書いてもらう。
- (3)納品書のコピー(部品名などがきちんと特定できるもの)
- (4)部材の仕入先が、さらに外注先を使っているような場合、その外注先に対しても(1)(2)のいずれかを仕入先に入手してもらう。