当社の場合、担当者にもよりますが、製造委託先(OEM)で加工されているものでも、自社加工扱いにして申請しています。制度上、こうしたことをするのは問題があると認識を持っている担当者は、製造委託先(OEM)か、商社(輸出者)のどちらかに働きかけ、いずれかから特定原産地証明書を発行してもらうようにしていますが、貴社の例のように、OEM先と輸出者とでやり取りしてもらうのは困る(互いに知られたくない)という場合は、EPA適用が非常に困難かと思います。
設計から材料の選定等、OEM先に対しての製造上のコントロールをすべて貴社が有しているような場合、「みなし生産者」として貴社を製造者として認めてもらう制度もあるにはありますが、実際にこの「みなし生産者」として認定された、というケースはほとんど聞きませんし、わずかに認定された場合でも相当の日数(数か月?)がかかっているようで、通常EPAの原産地証明書発給までに許容される納期には間に合わないと思います。また要求される書類の量が多く、どういう書類が必要なのか明示もされないため、事実上、機能していない制度です。
あとは、OEM先ということであれば、製品の図面なども貴社でひいているものと推察されますが、このように製造するうえで必要な情報を貴社がすべて持っているのであれば、これらから原産品判定に必要な情報を抽出し、「輸出者」に判定申請してもらう、という方法です。ただ、この場合も製造者を正直にOEM先と答えてしまうと問題があるのであれば、輸出者が申請時に「製造者」を入力する欄がありますので、その部分に嘘を書くことになってはしまいます。
逆にOEM先が特定原産地証明書の判定申請を行い、その証明書を輸出者が利用できるよう、同意通知を行うということであれば、この場合もOEM先の名前は輸出者に知られてしまい、このEPAの手続きにおいては貴社が介在する余地は全くなくなってしまいます。
解決策にはなっておらず恐縮ですが、以上情報まで。