当社では、社内の帳票ではなく、社内様式の原価計算書を用いています。日本商工会議所に提出するVA基準の計算書は、この原価計算書から必要な部分だけを抜き出して作っています。材料費以外、つまり非材料費の比率が高い製品であれば、それだけで原産性が証明できてしまうため、材料費とそれ以外にまずは分けています。これで基準を満たさない場合のみ、材料費の内訳を調べていきます。あとどれくらいの金額があれば日本製を証明できるかを逆算し、証明しやすく、金額の要件をみたしそうな部材を探してその部分については、社内の計算書だけでなく、原産性を証明するための書類を集めます。取引先から、サプライヤー証明という形で、ある部品・材料についての日本製であることの証明をもらうことが多いです。
社内で製造しているものについては、あとで日本商工会議所等を通じて「検認」(現地当局から、原産性の確からしさ等について個別に確認する制度)の要求があった際に、証明書類を準備できるような状況であれば十分ではないかと思います。
EPAは実務をやって見ればわかるとおり、ごまかそうと思えばいくらでもごまかせてしまえるため、各企業内できちんと管理することが肝要かと思いますが、価格を裏付ける書類があとから出せるのであれば問題ないと思います。そもそも、内製品の多くは、部材の仕入れ時の帳票はあるかもしれませんが、利益部分を証明するものなどはシステムに入力されていることもあり、この部分には個別の伝票はないものと思います。