日インドネシアEPA協定|日インドネシア経済連携協定

日インドネシアEPA協定は正式には日インドネシア経済連携協定と呼ばれ、日本では6番目に発効されることになったEPAとなります。日インドネシア協定の利用件数(原産地証明書の発給件数)は、毎月3000件以上にもなり、日本が締結するEPAの中ではタイに次いで2番目に利用件数が多い協定です。

日系企業がインドネシアへ数多く進出していることだけでなく、適用にあたっては原産地規則が緩く設定されているため、非常に使いやすい協定となっていることも一因かと思います。さらに、適用によって受ける関税の減免効果が非常に大きい協定でもあり、これは発効年から比較的年数が経っていることもありますが、そもそも多くの品目で短期間のうちに関税撤廃で合意に至っていることが、この協定を利用する上で最大のメリットとなっています。実際、工業製品の分野ではほとんどについてこの協定を適用させると、インドネシア側での関税がゼロになります。

原産地規則については、関税分類番号変更基準か、付加価値基準のどちらでも選ぶことができる品目が多く、関税分類番号変更基準についても同種の基準としてはもっとも緩くなる号変更(HSコードの6桁レベルで番号が変わっていればよい)が採用されています。

日インドネシア協定における留意点としては、これは他国にもあてはまるところがありますが、関税の還付等が難しいため、一旦現地で通関してしまうと、あとからEPAを適用させて一度支払った関税を返してもらうことはほぼ不可能と言われている点です。制度上は、関税還付の制度がインドネシアには存在しますが、この手続きを利用しようとしたところ、別件の税務調査等が急に入り、関税還付どころか、さらに多くの税金を別名目で徴収された等の話も聞きます。

したがって、関税減免などの効果を狙った貿易を行うのであれば、特定原産地証明書を現地での輸入通関前に届ける必要があります。原産地証明書の遡及発給はできますので、出港・出航後に申請をして特定原産地証明書を発行することは何ら問題はありませんが、現地の通関業者へ、輸入申告を行うときまでには証明書の原紙を必ず届ける必要があります。

対象国

日本、インドネシア

使用されるHSコードのバージョン

HS2002

発効日

2008年7月1日

関税率が変わる日付

インドネシア側:毎年1月1日
日本側:毎年4月1日

関税の計算方法

インドネシア側の関税率

輸入関税:
CIF価格に関税率をかける従価税方式です。関税以外にも輸入時に、付加価値税(PPN)、奢侈品販売税(PPnBM)、前払い法人税(PPh22)、物品税などが課せられる品目があります。

輸出関税:
日本とは異なり、農産物や鉱物資源等の一部の品目で輸出時にも関税をかけています。自国で必要な資源の過度な流出を抑える目的があります。CIF価格もしくはC&F価格をベースに課税されます。

日本側の関税率

CIF価格に関税率をかける従価税方式が一般的ですが、品目によって従量税、スライド関税、混合税等もあります。CIF価格に関税を上乗せした金額に対し、消費税が加算されます。関税率が0だとしても、輸入時のCIF価格には必ず消費税が上乗せされます。

協定の税率計算
0.1%未満は四捨五入して扱う。0.05%は0.1%として計算。

原産地証明書の発給機関

  • 日本:日本商工会議所
  • インドネシア:各地方の商業省(Ministry of Commerce)地域事務所

原産地規則

品目別規則

原産地規則については、品目のHSコードごとに「品目別規則(Product Specific Rules)」の欄に記載されています。

工業製品の多くでは、付加価値基準による原産率40%以上か、HSコードが材料のレベルから6桁のいずれかが変わっていればよいとするCTSH基準(関税分類番号変更基準のうち、番号の6桁レベルでの変更を要する基準)のいずれかを満たしていれば原産品とすることができます。

一部の品目でこれらよりも、原産地規則が厳しくなっているケースもありますが、日本が締結する経済連携協定、貿易協定のなかでもっとも適用しやすいものの一つと言えます。

救済規定などの特別規定の有無

累積

使用可能。締結国の一方の国の原産品は、もう一方の国においても原産品となります。たとえばインドネシア製の部品を使って日本で製造しているものがあるとすれば、そのインドネシア製の部品は日本製とみなすことができます。

僅少の非原産材料(デミニマス規定)

使用可能。非原産材料で完成品と一部の材料のHSコードが変わらないような場合に、以下の条件を満たすとき、該当する一部の材料については、非原産材料から除外することができる制度です。

輸出品のHSコードがその材料のHSコードから変化していれば、何らかの加工を行ったとみなして原産品にすることができる関税分類番号変更基準(CTC基準)は、申請する上では各部品や構成要素の単価がわからなくても適用可能なことから、適用がしやすく便利なルールですが、材料や部品である構成要素の一部が輸出品(完成品)のHSコードと同じになってしまうと本来は使うことができません。このデミニマス規定の存在する協定は、こうした状況の際、重量や価格が一定以下であれば、材料等のHSコードが輸出品と同じでも原産品とすることができます。

デミニマスの基準はHSコードの大分類によって基準が異なり、28類から49類、64類から97類については価格の10%、50類から63類については重量の7%までとなります。

日インドネシア協定による税率

タリフスケジュール|譲許表|関税低減スケジュール

日インドネシア協定における関税低減と撤廃のパターン
譲許表記載の記号 意味
A 発効日に関税が即時撤廃されている品目
B3 関税撤廃までに4回に分けて毎年均等に関税率を低減していく品目
B5 関税撤廃までに6回に分けて毎年均等に関税率を低減していく品目
B7 関税撤廃までに8回に分けて毎年均等に関税率を低減していく品目
B10 関税撤廃までに11回に分けて毎年均等に関税率を低減していく品目
B15 関税撤廃までに16回に分けて毎年均等に関税率を低減していく品目
P 個別に低減内容が設定されている品目【譲許表の注釈に個別記載】
Q 個別に低減内容が設定されている品目【譲許表の注釈に個別記載】(日本側のみ)
R 個別に低減内容が設定されている品目【譲許表の注釈に個別記載】
X 関税の減免や撤廃などの対象外となっている品目

日本側の関税低減スケジュール(日本輸入時の関税)

 

インドネシア側の関税低減スケジュール(インドネシア輸入時の関税)

日インドネシア経済連携協定に関する情報ソース、関連リンク