関税同盟は、同盟を結んだ国の間では原則的に関税をかけずに貿易による物品のやり取りを行うことができ、同盟を結んでいない国に対しては、関税同盟の参加国すべてが同じ関税率をかけることになります。
また、関税だけでなく貿易政策や通関行政を参加国で共通化することも可能であり、貿易の自由化という側面ではブロック経済化を招くとの批判もあります。
関税同盟のメリットのひとつには、同盟を結んだ国同士では関税をかけずに(例外品目を設けるケースもありますが)自由に物品の貿易を行うことが可能になるため、自由貿易協定の側面を持ちます。
ただし一方では、関税同盟の外に国に対して、同盟国のどこの国も同じ関税率を設定することになるため、同盟国の域外から特定の製品が入ってこないように調整することができます。こうなると、関税同盟を結んでいるエリアに輸出することができない品目が出てくることになり、関税同盟を結んでいる国のなかだけで貿易を活発化させることもできてしまいます。
これが関税同盟のもつデメリットであり、意図的に「ブロック」によって世界経済を分断させる側面ともなり得る要素です。現在はこうした過度のブロック経済化を招くような政策をとらないようWTOが監視していますが、貿易の自由化を部分的には進める役割も持つため、その線引きは難しく、ある産業にとっては保護主義と映っても、別の産業にとっては歓迎すべき協定と映ることもあります。
関税同盟の機能を持つ代表的なものとしては、EU(加盟国28ヵ国)、MERCOSUR(アルゼンチン、ボリビア、ブラジル、パラグアイ【停止中】、ウルグアイ、ベネズエラ)、GCC(アラブ首長国連邦・バーレーン・クウェート・オマーン・カタール・サウジアラビア)、SACU(南部アフリカ関税同盟:ボツワナ、レソト、ナミビア、南アフリカ、スワジランド)などがあります。
なおASEANは自由貿易協定の締結主体ともなっていますが、関税同盟ではありません。