World Tariffの使い方

World Tariff(ワールドタリフ)はクーリエ大手のFedex社が運営するオンラインの関税データベースで、通常のMFN関税率だけでなく、貿易協定をはじめとする各種協定やGSP税率などの特恵税率を調べることにも使うことができ、輸入時にかかる関税以外の諸税についての概要もカバーされています。ウェブにアクセスして使えるため、手軽で広く普及しています。

実際に輸入・輸出する場合には、取引のあるフォーワーダーや通関業者、通関ブローカーを通じて最新の関税額を調べる方法がよく使われる方法ではありますが、それ以前の関税コスト検討や参考情報の収集手段として最もよく使われる有料データベースです。見積もりの際に関税コストを織り込むというだけでなく、昨今はグループ会社間や自社の海外拠点、生産拠点の間での貿易取引もよく行われるため、物流ルートを検討する際に、関税コストもあわせて検討していく関税プランニングの考え方も浸透しつつあります。物品の種類、金額や量によっては関税コストや諸税などの輸入コストが、輸送費などの物流コストを上回ってしまうこともあるため、初期段階から関税について検討を進めることは非常に重要となります。

通常、このデータベースは関税率を1件調べるごとに費用がかかるのですが(1回検索するごとに7ドル)、日本の場合、JETROが契約しているため、日本居住者でJETRO経由でアカウントを取得すると、何回でも無料で使うことができます。

World tariffに登録できない場合

手順どおりに入力しても登録できない場合、上記のJETROの窓口へ問い合わせると対応して頂けます。通常の登録画面で入力してしまうと、有料になりますので、world tariff JETRO 登録と記載のある画面から登録作業を行う必要があります。

World tariffで関税を調べる方法

1.ユーザーIDとパスワードを取得後、入力しエンターキーを押します

2.ログイン後、最初の画面は検索手法を指定するページになっています。
HSコードでの検索やテキストでの検索ができますが、関税率特定のためにはHSコードによるものが最も確実で早い方法です。

3.検索オプションからHSコード検索を選ぶと、今度は「仕向国/輸出先」と関税を調べたい製品のHSコードのうち、頭から2ケタの「類」(Chapter)と、頭から4ケタの「項」(Heading)をプルダウンメニューから選択する画面となります。

仕向国(輸出先)とは、関税率を調べたい国となります。プルダウンメニューには多数の国が並びますので、選択中にアルファベットを打つことで、候補となる国を素早く選べます(Indonesiaを探す際にiを打てば、iからはじまる国を順番に選べる)。

HSコードの類や項については国が変わっても世界共通ですので、現地側で輸入通関に用いるHSコードがわからない場合は、関税を調べたい製品の日本でのHSコードを調べておくとスムーズに進めます。

4.仕向国と、HSコードの類・項を選択したら、右下にあるSubmitボタンをクリックします。

5.ここで5ケタ以降のHSコードの全番号が表示されます。HSコードについては6ケタまでは世界共通の番号体系ですが、7ケタ以降については桁数も含めて各国で自由に決めてよいことになっており、その最終的なHSコードをもって関税率が確定されます。たとえば、日本の輸入HSコードは9ケタ、インドのHSコードは8ケタとなり、両者は6ケタまでは共通ですが、それよりあとの桁数はその国独自のものとなります。

HSコードを確定させるための細目について英語で説明書きがありますので、関税を調べたい製品をその中から選びます。UOM(単位)とMFN(MFN税率)はこのページにもすでに表示されています。

6.上記のHSコードをクリックすると、HSコードの最終桁数まで含んだtariff itemのページが表示されます。ここで関税率が確定します。

ここには、輸出国が一覧として表示されており、それぞれの国から仕向国として選んだ国へものを送った場合に、仕向国側で徴収する関税と諸税の一覧が表示されています。

MFN Appliedと表示されている国との貿易ではWTO加盟国間で適用される通常の関税率が適用されることを意味します。この部分に何らかの協定名やGSPなどの記載がある場合は、条件を満たすことで特恵税率を適用させることが可能です。

ただし、注意点としては、一部発効間もない協定や協定締結時のHSコードが大きく変わってしまっているような場合、あるいはworld tariffが対象としていない協定については、個別に協定条文を調べる必要があります。