日マレーシアEPA協定|日マレーシア経済連携協定

日本・マレーシア経済連携協定は日本が締結するEPAとしては3番目に発効された協定となります。経済産業省のデータでは日本からは毎月1000件前後の利用件数があります。

工業製品についていえば、マレーシアの関税率(MFN税率)は比較的高めに設定されており、20%、30%といったものも珍しくありません。特に自動車に関わるものについては自国での生産について明確な国策を打ち出している国でもあることから、注視が必要です。

通常の関税率が高いということもあり、マレーシアへの輸出にこの貿易協定を適用させることで大きな低減効果・削減効果が見込めます。関税率が30%というのは、WTO加盟国の間で関税率をなるべく低減させようとする昨今の動きの中でもかなり高い部類で、量産品や量産納入をはじめ、設備等の金額の大きなもの、点数の多いものを輸入するとそのコストが大きな負担になってくることが見て取れます。

この協定は発効から年月が経過していることもあり、多くの品目で、適用さえできれば関税がゼロになりますので、マレーシアへの輸出の際は積極的に活用していきたいところです。

また原産地規則についても、品目別規則で個別に設定されていますが、付加価値基準の原産比率40%以上か、関税分類番号変更基準(多くは6桁レベルでのHSコード変更のみで可)かのいずれかを満たしていれば原産資格を得ることができる為、インドネシア等とならび、原産資格を得やすい協定といえます。

また、農産物、水産物などの一部品目ではASEAN加盟国10カ国で採れたもの等も、日本、マレーシアにおける原産扱いとなるルールが設けられています。

対象国

日本、マレーシア

使用されるHSコードのバージョン

HS2002

発効日

2006年7月13日

関税率が変わる日付

日本側(日本輸入時)は毎年4月1日に低減。マレーシア側(マレーシア輸入時)は毎年1月1日に低減。関税の段階的引き下げ品目として設定されているもので、まだ関税がゼロになっていないものに限ります。

発効から月日が経っていることもあり、段階的引き下げ品目の多くで関税はゼロになっています。

関税の計算方法

マレーシア側の関税率

取引価格に関税率をかける従価税方式が一般的です。
マレーシアの場合、品目によって物品税(Excise Duties)、販売税(Sales Tax)等が関税のほかにも課せられ、自動車等をはじめ、これらが関税よりも高額な物品があります。このため、輸入時のコスト算定にあたっては、関税以外の諸税も含めた合算値の確認が必要です。

日本側の関税率

CIF価格に関税率をかける従価税方式が一般的ですが、品目によって従量税、スライド関税、混合税等もあります。CIF価格に関税を上乗せした金額に対し、消費税が加算されます。関税率が0だとしても、輸入時のCIF価格には必ず消費税が上乗せされます。

原産地証明書の発給機関

  • 日本:日本商工会議所
  • マレーシア:国際貿易産業省(MITI)

原産地規則

原産地規則については、品目のHSコードごとに「品目別規則(Product Specific Rules)」の欄に記載されています。

付加価値基準40%以上、関税分類番号変更基準(号変更【6桁】)のいずれかに適合すれば原産性が得られる品目が多い為、適用が容易な品目が多いです。

通常の関税率(MFN税率)が高い品目が多いのがマレーシアの特徴であり、協定の適用により大きな減免効果が期待できます。

救済規定などの特別規定の有無

累積

使用可能。締結国の一方の原産品はもう一方の国でも原産品になります。

僅少の非原産材料(デミニマス規定)

使用可能です。デミニマスの基準はHSコードの大分類によって基準が異なり、28類から49類、64類から97類については価格の10%、50類から63類については重量の7%までとなります。

日マレーシア協定による税率

タリフスケジュール|譲許表|関税低減スケジュール

日マレーシア協定における関税低減と撤廃のパターン
譲許表記載の記号 意味
A 発効日に関税が即時撤廃されている品目
B3 関税撤廃までに4回に分けて毎年均等に関税率を低減していく品目。現在は撤廃されている。
B4 関税撤廃までに5回に分けて毎年均等に関税率を低減していく品目。現在は撤廃されている。
B4* 2010年1月1日に関税撤廃された品目
B5 関税撤廃までに6回に分けて毎年均等に関税率を低減していく品目。現在は撤廃されている。
B6 関税撤廃までに7回に分けて毎年均等に関税率を低減していく品目。現在は撤廃されている。
B7 関税撤廃までに8回に分けて毎年均等に関税率を低減していく品目
B9 関税撤廃までに10回に分けて毎年均等に関税率を低減していく品目
B9* 2015年1月1日に関税撤廃。
B10 関税撤廃までに11回に分けて毎年均等に関税率を低減していく品目
B15 関税撤廃までに16回に分けて毎年均等に関税率を低減していく品目
P 注釈で個別に低減ルールを定めている品目
Q 注釈で個別に低減ルールを定めている品目
R 注釈で個別に低減ルールを定めている品目
X この協定による交渉で除外されており、関税の撤廃や減免の対象外となっている品目

日本側の関税低減スケジュール(日本輸入時の関税)

マレーシア側の関税低減スケジュール(フィリピン輸入時の関税)

日マレーシア経済連携協定に関する情報ソース、関連リンク