加算要素は、関税を決める際に、関税率をかける「元」となる「価格」に足しておくべき費用です。
日本では関税は、以下の式で計算されますが、関税評価額は「CIF価格 + 加算要素」で構成されています。
関税評価額 x 関税率
CIF価格は、保険費用と輸送費用(外国から日本の港か空港まで)が入っているものの、基本的には、その製品の売買においてやり取りされる価格です。
この価格には入っていないものの、関税を計算する際に関税評価額に入れなくてはならない「加算要素」には以下のようなものがあります。
買い手から売り手に無償や値引きして供給した部分の価格
買い手が無償や値引きした上で提供した部品や材料、金型、工具、治具、器具などの道具類、消耗品、技術支援、製造支援、何らかのサービス支援の費用。これらを無償か、値引きした上で提供することで売り手が何かを作り、それを買い手が輸入しているケースでは、その分を加算要素にする必要があります。
買い手が負担することになる梱包容器、包装材料や手数料
梱包や包装材料、何らかの手数料などを別途買い手が負担しているものの、通関インボイスの価格にこれらの金額が含まれていない場合、これらも加算要素となります。
ロイヤリティやライセンス料
売り手が何らかの形で関与しているロイヤリティ、ライセンス料について、貿易外の形で買い手が直接・間接的に売り手に支払っている金額がもしあれば、これらも加算要素となります。
売手帰属収益
法令では「買手による輸入貨物の処分又は使用による収益」という言い方がなされます。買い手が売り手に対して、販売収益のいくらかを支払うというような契約があったり、活動経費を別途支払うというような、何らかの費用を売り手に支払うことになっている場合で、これらが実際の「物」の貿易の価格に入っていない場合は、これらも加算要素となります。
加算要素となるかどうかわからない場合は、放置せずに、税関に確認したり、事前教示制度を利用したり、取引のあるフォーワーダーを通じてどのような扱いになるのか確認する習慣をつけることが大切です。関税についての罰則の項目でも書きましたが、事後調査などの訪問調査によって加算要素の抜けがわかれば、加算税等がかかってきますので、不明点は自分で抱え込まずに問い合わせていくことが大切です。