加工工程基準(SPルール)

加工工程基準は、原産地規則のひとつで、非原産材料を用いて特定の加工工程が行われた場合に、加工物に対して原産資格を付与するというものです。別名、SPルール(Specific Process rule)ともいいます。

繊維や化学製品についての加工工程の一部がこの基準に該当しますが、関税分類番号変更基準付加価値基準に比べると、使える品目が限定されており、分野を選ぶルールと言えます。

このルールの概要は、関税分類番号変更基準と同様、利用しようとしている協定に関係のない国で製造されている「非原産」扱いとなる原材料や部品を使って何かを製造するとき、特定の加工工程を経た場合に、その製造した国の「原産品
」として認めるというものです。繊維などの場合、加工をしてもHSコードが変わりにくいため、HSコードそのものが変わっていることが求められる原産地規則であるCTC基準では適用がしづらく、加工工程そのものがあるかどうかで判別されるこの基準のほうが使い勝手がよいことがあります。

特定の加工工程とは、例えば「繊維」であれば、浸染、なせん、製織、漂白、難燃加工、染色などです。繊維系や、化学系の製品の一部は、例えば協定を結んでいる国で実際に加工していたとしても、関税分類番号変更基準や付加価値基準がうまく適用できないことがあります。前者は、協定と関係のない第三国で作られた原料を持ち込んで作る場合でも、その原料から加工したあとに関税分類番号が変わっていればよいのですが、繊維加工や化学系の処理の中には、かなりの加工を自国で行っているにも関わらずHSコードが変わらないケースがあります。また付加価値基準では、関税分類番号が変わるかどうかは問題ではなく、自国で上乗せされる加工賃や利益、自国原産材料の金額的比率が問題となるため、外国産の原材料を多く使う場合には適用が難しくなります。

この加工工程基準とは、ある特定の加工を行うためには設備や手間などがかかるという前提で、その工程を経たものについては一定の付加価値が上乗せされていなくとも、外国産材料の関税分類番号が変わっていなくとも使えるという原産品判定ルールとなります。

条件が合致すれば便利なルールですが、これを採用している協定が限られていることや、また採用されていても、特定の品目、つまり決められた関税分類番号(HSコード)がつく製品についてしか適用が難しいという限定されたルールとなっています。