関税賦課一時停止措置

決められたある特定の品目についてのみ、関税をかけることを期間を定めて一時的にやめる措置のことで、英語では、Duty Suspension略してDSとも表記されます。

この制度は、本来、自国内で供給が減ったり、供給が不足しているような品目について行い、輸入量を増加させたり、企業活動を活発化させたりするための一つの方法ですが、関税の賦課が一時的にでも停止となる品物を当該国で生産する企業やその競合にとっては、関税賦課一時停止措置のインパクトは非常に大きいものとなります。

関税賦課一時停止措置はEUのものがよく知られており、たとえばプラズマティスプレイパネルや特定の魚介製品、LCDビデオモニター等について適用されたことがあります。

EUのこの制度では輸入の数量に制限がありません。日本でも採用されている関税割当制度のように、一定の数量を超えるまでは低税率か無税での輸入を認め、それを超える数量については高関税率を課して、国外から市場への供給過多とならないよう調整する方法もありますが、数量の制限がないこの措置とは根本的に異なります。

EUの場合、加盟国間での貿易では関税を無税にし、域外の国に対しては共通関税率を設定する関税同盟の性質も持ちますが、この関税賦課一時停止措置も域内全域に効果を及ぼします。

ただし、品目を特定する為に用いているCNコード(EUにおけるHSコード)が、同じ品目でも、通関を行う国によって異なる場合があり、この場合は、同じ品目でも関税賦課一時停止の対象とはならない場合もあります。