サウジアラビアは中東の国々以外との間では市場の開放が十分に進んでおらず、また同国でのFTA協定の優先順位も低く、貿易の自由化はあまり進展していないのが現状です。
2005年にはWTO加盟を果たし、段階的には一部市場の規制を緩和しつつありますが、西側諸国からの市場アクセスは決して良いとは言えません。これらは同国の産業構造とも関係しています。
具体的にFTA、EPA協定に相当するものは、中東の中でも湾岸諸国との間で結んでいる関税同盟であるGCC(湾岸協力会議)、PAFTAと呼ばれる汎アラブ自由貿易圏(大アラブ自由貿易地域)に加盟しています。またGCCの一員であることから、GCCの締結する協定についても活用することは可能です。
ただ、GCCは日本、オーストラリア、中国、韓国、トルコ、インド、パキスタン、メルコスール、EUとも交渉を行ってきましたが、中断しているものが多く、どれも交渉は難航しています。
調印そのものが終わっているGCC-シンガポール、GCC-EFTA、GCC-ニュージーランドについてもいずれも締結しているものの、発効には至っていません。
サウジアラビアが単独で締結している二国間のFTAは今のところありません。
サウジアラビアのFTA締結国、交渉国
締結国、交渉国 | 協定状況 |
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GCC(湾岸協力会議) | UAE、サウジアラビア、オマーン、バーレーン、カタール、クウェート。関税同盟。対外的に共通の関税率を設定しているが、域内で完全に貿易が自由化しているわけではない。2003年発効。 |
汎アラブ自由貿易域(大アラブ自由貿易圏) | FTA。1998年発効。Pan-Arab Free Trade Area (PAFTA) |
GCC-シンガポール | FTA。2008年締結済。 |
GCC-EFTA | FTA。2009年締結済。 |
GCC-ニュージーランド | 妥結したが、締結・発効には至っていない。 |