CTCルールとVAルールの使い分け

CTCルールは関税分類番号変更基準ともいいますが、原産地規則の中ではもっとも適用が簡便なルールです。関税減免を適用しようとする産品が、自国内で何らかの加工を行うことでHSコード(分類番号)が変更になっていればよく、原価や材料、加工費、利益などの算出も必要ありません。

ただし、HSコードはすべての産品につけられていますが、国内でかなりの加工をしても分類番号が変わらない製品もあります。この場合は、VAルール(付加価値基準)を使うことになります。

またCTCルールには、いくつかレベルが分けられており、産品につけられているHSコード6桁に対し、大分類である上2桁の変更が必要なのか、項目である上4桁が変わっていればよいのか、あるいは上6ケタが変わっていればよいのかという違いです。

最初の2桁の変更を求めるのはCC基準(Change in Chapter)ともいいますが、このCTCルールの中では最も厳しいものになります。HSコードは、製品カテゴリーと各番号がランダムに結びついているわけではなく、似た分類のものを同じ番号、近い番号に配置する傾向があります。したがって、6ケタの番号が変わっていればよいとするルールが最も適用できる製品の幅が広がる規則となります。CCルールに続くのが、CTH(Change in Tariff Heading)ルールで、上4桁である(項)が変わっていればよいというものです。最後が、CTSH(Change in Tariff Sub Heading)ルールで、上6桁のうち、下1桁でも変わっていればよいというものになります。

多くの協定におけるCTCルールは、この最後のCTSH基準を採用しているケースが多いですが、VAルールの基準を同時に満たす必要がある協定もあります。

VAルールは、自国内での加工費や利益、自国での原産材料扱いになる品目の合算が一定値を超えれば、原産性を付与するというものですが、CTCと違い、あらゆるものに適用可能というメリットがある反面、為替変動などの影響により、海外から調達している部材の価格変動によっては、今まで満たしていた基準を下回ってしまい、突然原産性を失うことがあります。このあたりがCTC基準とは決定的に違う部分です。