インドと中国の間の貿易協定について

中国からインドへ製品を輸出するケースで、関税免除等が可能な貿易協定はありますか?何か情報ございましたらご教示のほどお願いします。
追記:インド→中国の場合についても利用可能でしょうか。

貿易協定として中国-インドで発効済みのものとしては、APTAの略称で呼ばれる特恵貿易協定があります。
Asia-Pacific Trade Agreement(アジア・大洋州貿易協定)が正式名称で、バンコク協定の名前で知られていた貿易協定でもあります。締結国は、バングラデッシュ、中国、インド、韓国、ラオス、スリランカ、モンゴル(2013年から)の7か国で多国間協定になっています。

自由貿易協定ではなく、特恵貿易協定の為、関税の減免が可能な品目がかなり限られているのと、その譲許レベルも高くはないため、一部の品目を除くと、貿易の量にもよりますが効果が出にくい協定です。

以下、インドの商工省で公開されている締結済みの貿易協定の一覧ページです。

http://www.commerce.nic.in/trade/international_ta.asp?id=2&trade=i

Agreements already concludedの下部に、「 Asia Pacific Trade Agreement APTA」へのPDFリンクがつけられています。(※PDFファイル内のリンクは死んでいますので、この協定の加盟国である他の国の所管官庁のページを調べていくとよいと思います。)

重要なのは、締結国ごとにどの品目をどれくらいの関税率に下げるかを示したConsession listと呼ばれるものと、原産地規則、発給機関などの情報なのですが、肝心のConsession listを公開している国が少ないため、以下、2014年12月時点で確認できたサイトです。(事務局のUNESCAPでも関税譲許について記載されている表のリンクが切れています)

http://fta.mofcom.gov.cn/topic/enpacific.shtml

非原産品から構成される物品の原産地規則:
非原産品の割合が、FOB価格の55%を超えない、等
(非原産品の価格はCIF)

>追記:インド→中国の場合についても利用可能でしょうか。

輸入側が関税を決めるため、こうした場合、以下の場合で税率が異なることがありますので品目ごとに個別確認が要ります。

インド→中国(中国側のconcessions)
中国→インド(インド側のconcessions)

ACFTA(中国-ASEANの自由貿易協定)のように、片方が関税譲許を認めていないような場合、もう片方も関税を下げなくともよいというような規定をもつ協定もあります。

FOB価格とEXW価格の違い

国境を越える取引については、国内取引と違いインコタームズと呼ばれる「貿易条件」ごとに価格を設定することが一般的です。インコタームズは世界共通のもので、FOB(エフオービー)やEXW(エックスワークス)もその一つです。FOBとEXWはどちらかというと輸出側(売り手)有利ともいわれる条件ですが、その違いについて見ていきます。

貿易条件とは、大まかに言うと輸送や保険などの費用をどちらがどの部分までを負担するのかという部分、つまり「1.価格にどこまでの費用が入っているのかという条件」と、輸送中に製品などが破損した場合、「2.どの時点から売り手と買い手の責任(危険負担)となるかを線引きするための条件」のことです。たとえば、FOB OSAKAでの価格の場合、大阪港(空港)までの国内輸送費・集荷費用・梱包・諸経費・日本での通関費用・倉庫・保管料・検査費用などが含まれている価格となります。そして、このFOBの場合の危険負担とは、たとえば製品の輸送中、大阪港で船に積み込む前に製品が事故で破損してしまった場合、売り手(輸出者)側がその損失を被るということになります。

具体的には国内でも保険をかけることになるため、その保険会社への保険求償の手続きを行うのが売り手ということになり、契約条件によってはすぐに代替品の手配とその輸送責任についても売り手が負うことになります(貿易で契約が重要となるのはこうした点までも事前に事細かに決めておく必要があるからです。実際トラブルがよく起きるため、契約はトラブル解決のための手順書の役割も果たします)。

こうした点から、たとえば船に積み込んだあとにその船が事故等で遅延した、あるいは品物に海水がかかってしまい駄目になった、という場合は、買い手側がその損失を被ることになります。FOBの場合、売り手は、指定した港にとまっている船に積み込むまでの責任を持ちますが、積み込んだ後は買い手側の責任ということです。

FOB価格とEXW価格のメリット、デメリット

以下、FOB価格とEXW価格を比較した場合のメリットやデメリットについてみていきます。
これらは立場や状況によってかなり異なるので、どんなときでもこちらがよい、というようなことは言い難い問題です。

FOB価格の範囲

港(空港)までの国内輸送費・集荷費用・梱包・諸経費・日本での通関費用・倉庫・保管料・検査費用など。つまり、輸出品を自分の国の港に停泊している船に積み込むまでの費用が製品価格に入っていることになります。船便、エアー便でも梱包方法や要求が異なるので、価格以外のFOBコスト部分は厳密には異なってきます。

FOB価格のメリット

輸出側のフォワーダー(通関業者)は輸出側(売り手)で選べるので、使い勝手のよい業者や付き合いがあり、相談等も乗ってもらえる業者など好きな通関業者を選べます。貿易においては、ほとんどのやり取りはこのフォワーダーを通じて行うことになるため、この部分は意外に重要です。ただしEXWでも相手が特に指定しない限りは、自分たちでフォワーダーを選ぶことに問題があるわけではありません。

FOBはインコタームズの中でも最も一般的な貿易条件であるため、使いやすいです。

EXWよりも、買い手にとっての公平感があります。

単価になんだかんだと理由をつけて上乗せをしても、その内訳や実態が相手にわかりにくいため、正味の製品価格を明らかにしたくない場合にも有効です。

EXWほどに出荷する側にも制限がありません。FOBだと、通関業者の費用も負担するため、業者との関係しだいでは本来はCIF条件等でないと確認してくれないようなことでもやってもらえることがあります。

FOB価格のデメリット

CIFと違い、自国港から、相手港までの輸送ルートの決定や船会社などの決定権はありません。取引相手が指定する船会社を使うことになるため、出港スケジュール等を自由に選びたい場合には、デメリットかもしれません。輸出者にとって、FOBとCIFの差は、いつ輸送費用を支払うことになるのか、誰がそれらをアレンジするのか程度の違いですが、FOBとEXWになると、危険負担の範囲が変わります。

FOBコストが輸出する量等により変動するため、算出が面倒。非常に数多くの部品や生産財などを扱う場合、個別に単価を算出するのが難しく、FOB係数のように、実績値からFOBにかかる費用を一律に適用するなどの方法もありますが、あくまで過去の実績から類推した金額となります。FOB価格の算出は、物量が毎回明確にわかる都度の算出であればたいした負担でもないですが、そうではないもの、物量がはっきり読めないような場合には使いづらくなります。

また、製品の荷姿や重量、容量などが毎回把握しづらい環境も、FOB価格は使いづらくなります。梱包単位がわからないと、FOBコストが正確に出ないからです。

EXW価格の範囲

製品を集荷にきてもらえる状態にしておくまでの費用が入っています。自社で箱詰めし、それを引き取ってもらうだけ、という状態にしておくための費用は製品価格に入っていることになります。それ以外の費用はすべて買い手が負担します。たとえば、輸出国でコンテナへ詰め込むなどの作業費用についても買い手側負担となります。

EXW価格のメリット

危険負担についていえば、売り手にとっても最も有利な条件です。製品を工場から出荷した時点で、荷物に何かあった場合、買い手の責任となります。国内輸送中に事故にあったような場合でも、EXWの場合、売り手ではなく、買い手が保険をかけておく必要があり、保険会社とのやりとりも買い手が行うことになります。

慣習上、EXWの場合でも国内輸送や国内通関などのアレンジを出荷する側が行うことが多いですが、建前上は、集荷の手配までもすべて買い手が行うことになるため、出荷側は輸送に関する費用のごまかしが一切できません。

価格の算出、見積もりの算出が容易です。事実上、国内向けの見積もりと同じように算出可能です(ただし消費税は抜き)。

EXW価格のデメリット

危険負担やアレンジすべき部分が短いということは、楽な半面、貿易に関する決定権がほとんどありません。輸送についてはその全行程を買い手側が決めます。出荷後の手間、という面ではあらゆる部分で買い手側が担うことになりますが、これが輸出側に不都合と感じる場合は、デメリットとなってしまいます。

単価が丸裸になってしまうため、このあたりを明確にしたくない場合には向きません。

自社内の梱包作業などを外注している場合、その費用については単価に入れるか、外注業者から取引先へ直接請求ができる環境にないと、工場出しまでにかかる仕分けや梱包費用を回収しそびれることがあります。

以上が原則とはなりますが、インコタームズとずれた費用負担を行うことも実は可能です。
売り手と買い手が合意していることが条件とはなりますが、EXW条件にもかかわらず、金額の負担部分をFOBやCIFのようにして輸出側が負担するようにしたり、逆にCIF条件なのに、相手へ輸送費用の請求がいくようにしたり、といったことです。



FOB費用の内訳はどうなっているか

FOB条件は貿易においてもっとも一般的な取引条件の一つで、販売する価格に、梱包費用、輸出港(輸出空港)までの輸送費用、集荷費用、輸出国側での通関費用などが織り込まれている価格となります。一見、明朗会計に見えなくもないですが、FOBコストの実態というのはかなり見えづらく、数量による変動も大きいため、算出には意外に手間がかかります。

また、はじめてFOB価格を算出する場合、「こんなにかかるのか」と驚かれる方も少なくありません。これは貨物量や荷姿、貨物の種類にもよるのですが、自分で箱詰めできるレベルの量で物流業者へ持ち込んだり、集荷してもらったりというものと、コンテナにバンニング(コンテナへ荷物をつめて固定し、封をする)するような貨物とでかなり金額に差が出てくることとも関係していみあす。

なお、FOBといった場合は費用に何が含まれているかが明確になるだけでなく、「危険負担」がどこで移転するかも決定付けることになります。

FOB費用は荷物の重量と容量によっても変わります。また、危険物や国内での出荷時に検査が要求されるような物品についてもそれらを費用に織り込む必要があります。

製品単価が高くない場合は、製品価格の合計よりもFOBコストのほうが上回る例もあります。

フォワーダー利用の場合のFOBコスト内訳

エアー輸送の場合の例:

  • 通関料(大額と小額の2パターン)
  • 陸送運賃(国内輸送費用)
  • ピックアップ費用(依頼する場合)
  • 倉庫費用(warehousing、入庫作業など)
  • 梱包費用
  • 爆発物検査料
  • 取扱手数料
  • 消費税(国内手数料や、爆発物検査料、ピックアップ費用等に対して)
  • 保管料など
  • 横持ち費用(集荷センターなどを利用したり、外部のパッキングや仕分け業者を用いるような大規模な物流システムが必要なケースではよく発生します。)

船便輸送の場合の例:

  • 梱包費用
  • 入庫・出庫料
  • 輸出通関料
  • 船積手数料
  • Doc fee
  • 書類作成料
  • Terminal handling charge
  • CFS charge(Container freight Station)
  • FHD(Free House Delivery)charge

梱包材の費用も含まれるため、梱包費用がそれなりにかかります。またラベルなどを使うのであればその費用もかかり、危険物であればその分余分に費用がかかり、また梱包形態によりかなり上下することもあります。

基本的にFOBコストは、重量や容積(パレット数)によって上下するものと、申告金額により変わるもの(通関手数料)、固定でかかる費用等で成り立っています。

FOB係数を用いて、FOB価格を算出する方法

FOB価格だと輸出する製品の量、つまり貨物の量で変わってしまう部分があることから、大量の製品を毎年多く輸出する会社などの場合、輸送係数やFOBの係数を、前年度にかかったFOBコストから割り出して、金額をはじくさいには価格にそのFOB係数をかけてFOB価格を算出する会社もあります。この場合、厳密には前年度のFOB実績をもとに算出されるため、FOBにかかったコストは次年度にしか回収できないことになります。グループ会社間での生産財のやり取りなどでは、定期的に一定の物量が流れることからこうした手法が用いられることもあります。

また、FOB価格を出す際には数量条件についても明確に出しておく必要があります。たとえば、100個の売買で1箱におさまる荷量と、100万個の売買で1万箱になる場合とでは、製品1個あたりに乗せるべきFOBコストは全く違ったものになります。

数量条件を設定せずに、こちらが勝手に想定した物量で顧客にFOB価格を出してしまうと、発注量が減った際にFOBコストを回収できなく可能性が出てきます。

こうした数量条件が読みづらいような場合、EXW条件の価格にしておけば、FOBコストは毎度実費で請求できることになります。ただし、EXW価格の場合でも自社で梱包する費用は単価へ織り込んでおく必要は出てきます。



輸出取引の売上計上はいつするのか

輸出取引の売上計上基準についてはいくつかのパターンがあり、会社により採用されているルールが異なる場合もあります。

税務の上では、「商品を買い手に引き渡したとき」が原則となりますが、貿易の場合、国境を越えるための諸々の手続きがあり、どの時点を持って商品を引き渡したとなるのか複数の考え方があります。また、所有権の移転が取引条件によりまちまちであり、厳密には定めがない取引も多く、どの時点をもってこの原則を満たすのか判断が分かれるところです。したがって、実務の上では所有権移転と売上計上基準が一致していなくとも問題はありません。

また、貿易条件であるCIFやFOBなどのインコタームズと連動させておく必要もないため、売上計上する基準については自由に決めることができます。

ただし、IFRSによる会計基準の場合、収益の会計処理について定めたIAS第18号(IAS 18 Revenue)の部分にて、物品の販売による収益は「所有に伴う重要なリスクが売り手から買い手に移転」したときに認識される旨記載があります(正確には、これ以外にも4つの要件をすべて満たした場合に認識される)。この「所有に伴う重要なリスク」に貿易における「危険負担」も含まれると解釈するのであれば、FOBとDDUといったインコタームズでは、それぞれ売上処理すべき時点が変わることになります。FOBやCIFであれば、船積基準で問題ないということにありますが、DDU、DDPなど危険負担が相手国に入ってからという貿易条件の場合、船積時点での売上計上では矛盾が生じることになります。

輸出取引で使われる売上計上基準

出荷日基準

自社、自社の生産工場から出荷された日に売上計上する基準です。国内取引でも売上基準を採用されているケースはよく見られます。いつ通関するのか、貨物の積み込み日・B/Lの日付はいつかといった点は一切考慮せず、あくまで自社から物品が出荷された日付に計上する方法です。いつ出荷したのかは自社の記録だけから判別が可能です。

船積日基準

船積みされた日付に売上を計上する方法です。。輸出する物品が自社を出発し、港・空港等へ搬入され、通関手続にかけられた後、船や航空機に積載されますが、この積み込まれた日付となります。船積書類であるB/Lに記載されている日付そのもので、B/L dateとも呼ばれます。輸出貿易を行っている企業ではよく使われる売上基準です。

FOBやCIFといった最もよく使われる貿易条件では、船積みの時点で「危険負担」が輸出側から輸入側へ移るため、取引における「引き渡し」と解釈されることもあり、この方法がよくつかわれますが、所有権の移転とはまた別になりますので注意を要します。

なお、工場出荷日と船積日に月ずれが発生した場合は、在庫計上されるのが一般的です。

通関日基準

通関された日(輸出通関が完了した日)に売上を計上する方法です。通関後に、船積みされますので、通常は船積日基準よりも若干前の日付となります。税関から出される輸出許可通知書など、通関手続きが完了したことがわかる書類で判別がつきますが、船積日基準のほうが一般的です。

船積書類作成日基準(B/Lの作成日を基準)

こちらも船積日基準とは異なり、船積みが完了した日ではなく、B/Lを作成した日付を基準として売上計上する方法です。

相手方の港で陸揚げされた日を基準

貿易では国内よりも輸送リードタイムがかかるため、場所によってはかなりあとにずれてしまいます。貿易条件に従い、相手への受渡日をもって計上する方法ですが、あまり見ません。



航空貨物におけるオフロードの意味

オフロードのもともとの意味は、積載することを意味する「オンロード」の反対語であり、貨物の取卸しのことを指します。ただし、国際物流、特に航空便を用いた貿易にかかわる状況での「オフロード」とは、何らかの事情で貨物がその航空機に積み込めなかったことを指す場合があります。

海外貿易においてエアー便を用いる場合、危険物の輸送やクーリエ(国際宅配便)などを除くと、旅客機による輸送も頻繁に使われます。旅客機の場合、乗客の荷物が優先されることは当然ですが、それらが積み込まれた後にも、空いている貨物スペースにどのような貨物を積み込むかについては優先順位が決まっています。

一般的に、医薬品などの医療品全般、移殖用臓器等医療用のものが最優先となり、救援物資、食料品といった物品が続きます。それらが一段落つくと、商業貨物の順番がまわってきます。この商業貨物の中でも費用を支払うことで、優先順位を上げてもらうことはできますが、先に述べた医薬品、食料品などもともとが商業貨物よりも優先される貨物より上の順位にはできません。

便数が多くある航路や、余力のある大型機が用いられているような場合はオフロードについてあまり神経質になる必要もありませんが、季節的に年末・クリスマスの時期や多くの帰省客などが想定されるような時期だと、貨物スペースの空きが埋まってしまい、商業貨物のスペースが通常の便よりも少なくなっている、ということがあります。地域によっては、文化・人種により、身内が一斉に荷物をもって帰省する、一か所に集まるという風習を持つことがあり、この場合、通常の想定外の手荷物をもって旅客機を利用する乗客もいます。また、季節によって特定の食料品の物流が大幅に増加するような場合も要注意です。

オフロードが発生しても、ただちに輸送リードタイムそのものに影響がないようスケジュールが組まれていることが多いですが、あまりにタイトなスケジュールであったり、オフロードが繰り返し発生してしまうような場合、着荷日そのものにも影響してきます。

特に急ぎのものであるような場合は、専用機をもっているクーリエのような業者を用いたり、フォーワーダーにあらかじめ着荷日が非常に重要であるため、貨物のプライオリティ(優先順位)を上げてもらえるような輸送サービスを用いる方法もあります。

また、航路・便数が限られているような場合で、優先順位を上げても対応が難しそうな場合、陸路での輸送が可能な部分をチャータートラックなどを仕立てて対応する方法もあります。チャーター便は、こちらが指定した貨物の輸送のためだけに手配するので、オフロードは起きません。

コストはあがりますが、欧州圏など陸路での輸送も可能な地域では複数の航空機を利用してオフロードのリスクを高めるよりも、チャーター便を仕立てたほうが有利なケースもあります。特に、日本発ではなく、別の国へ一旦荷物を飛ばしたのち、そこから貨物を積み替えて別の航空便を使うような場合は、要注意です。日本のフォーワーダーにもよりますが、状況により、日本からでは優先順位を十分にあげることができず後回しになることがあります。対して、トラックのチャーター便は、空港で待機していますので、日本からの航空便が届き次第、トラックに積み替え、そこから陸路で運ぶため、輸送リードタイムも読みやすいです。夜通し走るタイプのチャータートラックであれば、輸送リードタイムの総合計はあまり変わらないこともあります。



輸入コストの削減方法

海外における生産拠点、製造拠点などの工場で使う原材料や部品、消耗品、生産材全般、設備などすべてを現地調達できるのが理想的ですが、ほとんどの生産工場では製造に用いるかなりのものを輸入に依存しているかと思います。

海外の生産拠点の設立は、人件費の安さをはじめとするランニングコストの安さを見込んだり、顧客の近くだからという理由であったり、現地政府の優遇税制を見込んだりといった「コスト」を中心になされるため、そうした土地は往々にしてものづくりにおけるサプライチェーンが出来上がっていなかったり、産業構造が日本とは大きく異なることが一般的です。スタッフも限られ、いきなり有利購買やグローバル調達を積極的に進める、というわけにもいかず、結局日本や近隣の設立済みの他の工場から調達したり、仕入先が海外拠点を持つメーカーであれば、近場から調達するといった形になります。

また工業製品などでは特殊な製造設備を本社から持っていかねばならないことも珍しくないため、輸入コストというものが最初からついてまわります。

可能な限り、現地調達化を推進することが重要なのは当然ですが、当面は日々かかっている輸入コストをいかにして削減するかという点が原価低減にはすぐに効いてきますので、検討する価値の高い項目のひとつです。

関税などの諸税を含めた輸入コストというのは「会社の利益が出ようと出まいとかかっているコスト」という点がポイントです。法人税であれば、利益に応じた課税となるのに対し、輸入における関税などの諸税は輸入金額に応じたものになるため、会社が苦しいときほどその影響が直接出てきます。

まず、輸入コストの構成というのはおおむね以下のようになっています。

  • 1.輸送コスト
  • 2.輸入する製品の価格
  • 3.上記に関税を乗せた金額
  • 4.3に諸税を乗せた金額(VAT、物品税等)
  • 5.輸入業務に対応するスタッフの人件費

したがって、削るコストの候補としては、

  • 輸送費用、輸送にかかわる費用全般
  • 価格そのもの(製品単価)
  • 関税や諸税など輸入時にかけられる間接税
  • 社内の輸入業務工数の削減

等が考えられます。

輸入コストのそれぞれの詳細と削減方法を以下に見ていきます。

1.輸送コストの削減

輸送コストというのは、出荷元となる工場での梱包費用、港や空港までの輸送費、輸出通関料、空港や港等でかかる諸経費、手数料、セキュリティ費用、航空便ならば燃料サーチャージ(フューエルサーチャージ)、仕向け地までのキロ当たりの輸送単価もしくはコンテナあたりの輸送単価(20ftと40ftでまた異なる)、輸入側での通関費用、空港・港等の利用にかかる費用・手数料、内陸輸送費用などから構成されています。

物量がそこそこあるような場合、輸送量と契約期間を明示の上、複数のフォーワーダーから相見積もりをとる形式で決められることが多く、このときリードタイムやメリット・デメリット等も確認することになります。

フォーワーダーによっては、使う船会社や航空会社によってどのような価格差やサービスの違いがあるか比較のために明示してくれることもありますので、とにかく価格だけを重視するのか、輸送時間となるリードタイムとのバランスを見るのかといった優先事項を考えながら比較していくことになります。

状況によっては船会社を変えるだけで毎回の輸送コストが少しずつ下がった結果、年間ではかなりの削減効果となる、というケースもあります。

また、見積もり書に金額が明示されていない項目については、注意が必要です。そのときどきの時価、実費など見積もり時点では不明な場合、項目だけしか記載されていませんが、何かが安い分、別の項目で帳尻をあわせているケースもあるため、見積書の査定や精査はよく行ったほうがよいでしょう。国際物流における費用対効果というのは、単純に、重量あたりの輸送単価だけの比較ではないという点に留意が必要です。

2.輸入する製品の価格

輸入する製品の価格、つまり買値ですが、これはグループ会社との取引などで不当に安い価格で購入すると移転価格税制の問題にぶつかるため、適正な価格で取引する必要があります。もちろん、資本関係のない会社との取引であれば、取引条件等を交渉しつつ、より安い価格で購入できるよう交渉することも重要です。ただしこれも現実的にはなかなか難しいでしょう。

移転価格とは、資本関係のある会社同士が、たとえば、法人税の高い国で税金を支払いたくないために、さまざまな物品を安く価格で海外へ送り、その国では赤字となりますが、現地での製造コストを大幅に下げてそちらで利益を出すというようなことを禁じるものです。

グローバルに展開する企業では必ずこの問題に直面しますが、合法的な形で、税金の高い国での利益を圧縮する方法は現実的に行われています。

また、関税が課せられる品目の場合、関税額の算出は「関税評価額(CIF価格) x 関税率」で計算される国が多いため、関税のコストダウンのためには、製品の価格自体を下げるか、関税率を下げるか、その両方かという選択肢になります。

関税評価額が無制限に下げられるような状態になっていると、たとえば関税率10%の品目を1000万円輸入している場合、関税額が単純に100万円かかるわけですが、この1000万円の価格(製品価格+輸送費用+保険費用)を1万円だと偽った場合、関税額はわずか1000円になります。このため、各国で関税評価額を不当に安くすることは厳しく禁じられています。

合法的に下げる手法として、ロイヤリティや技術使用料、パテント使用料などの名目で支払っているものがあれば、それらを相手への売価から外すというような検討がなされることもありますが、両国の税制と関税評価額の算定基準についての専門知識が必要となります。

グループ間の取引であれば、原価低減などを通じて単価を下げる努力というのは継続的に行われているものと思います。こうした小さなコスト低減により、売価が下がれば、輸入コストの低減にもつながっていきます。

3.上記に関税を乗せた金額|関税の削減方法

「関税」とは、物品ごとに定められた関税率をかけることによって算出される品目が一般的です(従価税方式)。

前述の価格を不当に安くすることができない以上、関税率をゼロにすることでこの部分のコストダウンは可能です。

関税を下げていく活動には以下のようなものがあります。

HSコードの精査

輸入額(輸出額)が大きい場合は製品の「分類」を検討することもあります。貿易における物品にはHSコードと呼ばれる番号が振られますが、関税率はこのHSコードごとに決められます。HSコードは分類番号の体系であるため、国によりまちまちですが、9000~10000前後の数を持ちます。あらゆる物品がこの1万程度の番号のいずれかに分類されるため、複数のHSコードに該当するようなケースや、製品の特長や性質・仕様の誤解などから本来採番されるべき番号とは異なるHSコードに振られていることも珍しくありません。

まずは正しいHSコードが何番になるのか、輸入側は輸出側と連携して現地にて輸入通関を行う業者に確認を行う必要があります。

先進国の多くは、前もって現地税関に書面でHSコードを照会しておく事前教示制度と呼ばれるものもあります。一旦正式な事前教示をもらっておくと、実際の通関ではその番号が尊重されることになりますので、輸入時のHSコードで係争が発生するような場合は前もって確認しておくこともあります。ただし、一方で開発途上国の多くでは事前教示制度がなかったり、形骸化しており実際の効力がなかったりすることも多いため、現地税関とのやり取りの経験が豊富な通関業者を通じてどの番号が妥当か事前検討・確認が必要です。いったん、通関実績がついてしまうと、あとからHSコードだけを変更できない国もあるため、最初通関時のHSコードには特に神経を使うべきです。

本来つけられるべきHSコードとはまったく異なるHSコードがつけられ、輸入通関されていたため、関税を余計に多く支払っていた、という話は諸外国、特に開発途上国を中心に実際によくあります。

貿易協定の利用

貿易協定とは、このサイトで取り上げている自由貿易協定や経済連携協定、特恵貿易協定など二国間や多国間の条約を結んだ国同士の貿易で、協定に定めのある物品についてのみ関税の減免を行うことができるものです。

「貿易の自由化」すなわち関税をどのように下げていくのかについては、以前はWTO(世界貿易機関)にて世界の加盟国が合議で関税の低減について話し合っていましたが、この場で決めた関税低減の話は加盟国間すべての貿易に影響を及ぼすため、各国の利害の衝突が目立ち、関税の低減が進まない膠着状態に陥りました。そうしたなか、貿易協定が利害の一致する国同士で締結されるようになり、現在ではこの方法が関税面でのもっとも効果の高い貿易自由化の手段の一つとなっています。

貿易協定の利用にはほとんどの場合、輸出品に専用の原産地証明書をつけ、輸入申告時にそれらを提示することで所定の関税減免の恩恵を得ることができます。貿易協定が発効されているからといっても、専用の原産地証明書をつけ、所定の手続きを行わないと通常の税率が適用されることになります。

これは貿易協定を結んでいない国の物品に、安い税率を適用させない、いわゆる漁夫の利を防ぐための方法です。原産地証明書をつけられる品目は、貿易協定を結んでいる国の「原産品」に限定され、その原産地の基準も、協定ごとに品目(HSコード)によって決められています。

貿易協定の中でもFTA(自由貿易協定)やCEPA(包括的経済連携協定)といった協定は関税の減免効果が大きく、かなりの品目で関税率を撤廃するため、金額の大きい物品の輸入や量産品の輸入ではかなり大きな輸入コスト削減となります。

ただし、これには輸出側の協力が必要となります。

輸送単位の変更

HSコードの精査の重要性については前述したとおりですが、品目によっては輸出国で仕上げない、完成品にしない状態で輸出したほうが関税が安くなるものがあります。

あるいは、逆に単品で送るよりも一つの「設備」として送ったほうが関税の減免効果が大きく見込めるものもあります。正しいHSコードがあらかじめ分かっている場合、関税率や貿易協定の利用の可能性などがある程度判断できますので、この輸送単位の変更や輸出する際の製品の状態を変えるというようなことも検討項目になります。

どのような「単位」あるいは「構成要素」として輸出するのかについては、完成品として送った場合と部品として送った場合の関税比較を行うことが肝要です。この際、それぞれについて貿易協定が使えるかどうか、またその税率がいくらなのかも調べておくと検討が捗ります。

これは関税を下げるためだけでなく、現地で特殊なライセンスが必要な設備を送る場合などにも検討されることがある手段です。

優遇税制制度を利用する

国によっては外資誘致のため、一定期間の法人税の免除のほか、一定の要件を満たす企業において輸入品の関税を減免する制度を持つことがあります。貿易協定と比べてこちらのほうが減免効果が高い場合は、使用を検討すべき項目の一つです。

自国で輸出用の製品を製造するために輸入している原材料や部品について一定の関税免除などを設けている国もあります。いずれも自動的に適用される、というものはなく、申請手続きが必要となります。何もしなければ関税は通常、MFN税率が適用されることになります。

4.3に諸税を乗せた金額(VAT、物品税等)

VATはいわゆる付加価値税のことですが、これらの税金は関税を乗せた価格に対してかけられるため、関税が下がれば相対的にこれらも下がることがあります。基本的に、国内流通品に対してVATがかけられているため、輸入品についても輸入時に同様にかける国が多く、なかには国内との物価調整のため、さらに諸税にて調整を行う国もあります。これら諸税の中には特定の条件を満たすことで「還付」(あとから返してもらう)することができるものもあります。

関税がかからない品目であっても、VATだけはかけられることが多いため、この部分をコスト計算から外すわけにはいきません。

修理や改造などの名目で、いったん国外に出したものを再度輸入する、「再輸入」などの場合、一定条件を満たすことでVATが免除となる制度を設けている国もありますので、これも活用していくとよいでしょう。

5.輸入業務に対応するスタッフの人件費

メーカーの製造会社などの生産拠点等では購買業務を行うスタッフが輸入業務を兼務していることが多く、輸出業務については営業部門が同様に兼務している例が多いといえます。

貿易は資格云々よりも、経験をつんでいくうちに学んでいく分野であるため、現地の貿易事情を学び、フォーワーダー・税関とやり取りできる現地スタッフの育成が重要です。

専任の貿易担当を置いているならば、より高度な関税減免などを業務に組み込む等することも可能ですが、兼務の場合は、輸出先の助けも借りつつ、この部分の人件費を削るというよりは、上記で述べてきた輸入コストの削減に取り組んでいくほうが効果が高いと思われます。

現地の通関業者と協力して行っていくことになると思いますが、現地の通関事情や貿易に精通した社内人材というのはとても貴重です。海外の生産拠点の多くでは、優秀な現地スタッフがいなくなってしまい、こうした貿易ノウハウが失われるということもよくあります。

輸入業務に関する工数の削減も重要課題ではありますが、業務改善等により残業時間の削減だけでなく、輸入コスト削減検討のために使う工数は残しておきたいところです。



World tariffのHSコードと貿易協定のHSコードが一致しない場合

自由貿易協定(FTA)、経済連携協定(EPA)、特恵貿易協定(PTA)などの地域間貿易協定(RTA)では、品目ごとの関税率をどのように下げていくのか、あるいは関税を下げないのかという点について、HSコードごとに交渉により設定されていきます。

ところがHSコードは一定期間ごとに改訂が行われており、協定交渉の際に用いていたHSコードが、現在のHSコードであるHS2012と異なることが一般的です。多くの品目については最新のHS2012と交渉時に用いられていたHS2007やHS2002と違いはありませんが、一部品目については番号の統廃合が行われており、関税率を調べる際、協定文のなかの関税低減スケジュールには記載があるのに、当該国の現行のHSコードには該当する番号が存在しないことがあります。

協定は交渉から締結まで、交渉時に有効であったバージョンのHSコードで話が進められ、締結・発効後についてもそのときに用いられたHSコードのまま、記載がなされます。

HSコードは関税の減免を受けようとする場合、原産地証明書にも記載される重要な項目となりますが、多くの貿易協定では6ケタまでしか印字されません。ただし、関税率は6ケタではなく、その国ごとに設定されている7ケタ以降の番号が確定しないと決められないことが多く、このため、7ケタ以降の番号で税率が変わってしまうHSコードの場合、現地の通関業者や通関ブローカーに、何番のHSコードで通関予定か(あるいは通関希望か)を確認する必要が出てきます。

7ケタ以降のHSコードで関税が変わってしまうような場合、原産地証明書をそのまま送ると、現地税関との慣習・関係などから、あとからの追徴やトラブルを避けるため、より高い関税率のHSコードをつけようとする通関業者もいるため、念押しが肝要です。

一般には、貿易協定を用いる場合、HSコードの改訂年度(バージョン)の違いについては、不問にされる取決めがありますが、後発国などの場合で、税関担当者に理解がないと、関税の減免を受けられないことがあります。

これは特に、7ケタ以降の場合に問題になりやすい点で、世界共通の番号となるHSコードの6ケタまでの変更については、WCO(世界税関機構)もHSコードの新旧対照表を公開しており、関税を扱う職種の方々には一般的によく知られていますが、各国独自のHSコードの番号体系となる7ケタ以降の対照表については、その国のHSコード表を個別に比較して調べるしかありません。

World tariffを用いていて関税率を調査する際、自由貿易協定(FTA)などの貿易協定を締結している国同士で、その品目が除外品(EL品、Exclusive)扱いになっていないにも関わらず、MFN税率が適用されている場合、次のケースが考えられます。

  • 協定の発効からまだ時間があまり経過しておらず、関税の低減スケジュールがゆるやかな品目の場合、しばらくの間は貿易協定を用いた特恵税率のほうがMFN税率よりも高くなってしまっている[逆転現象]が起きているため、MFN税率が適用されている
  • 交渉時のHSコードと現在のHSコードの番号体系が変わってしまっており、交渉時のHSコードでは関税減免品目に分類されるが、現行のHSコードでは協定条文に対応する番号がない

関税率は現行採用されている最新のHSコードを用いて調べるのが一般的であるため、貿易協定を用いた関税減免が可能な品目については上記のようなケースで見落としが発生する可能性があります。すなわち、関税の減免が可能であるにもかかわらず、減免不可に見えるような案件です。

ある国と国の間に貿易協定などの関税減免のスキームが存在することがわかっている場合は、原典となる協定を直接調べることが重要となります。



World Tariffの使い方

World Tariff(ワールドタリフ)はクーリエ大手のFedex社が運営するオンラインの関税データベースで、通常のMFN関税率だけでなく、貿易協定をはじめとする各種協定やGSP税率などの特恵税率を調べることにも使うことができ、輸入時にかかる関税以外の諸税についての概要もカバーされています。ウェブにアクセスして使えるため、手軽で広く普及しています。

実際に輸入・輸出する場合には、取引のあるフォーワーダーや通関業者、通関ブローカーを通じて最新の関税額を調べる方法がよく使われる方法ではありますが、それ以前の関税コスト検討や参考情報の収集手段として最もよく使われる有料データベースです。見積もりの際に関税コストを織り込むというだけでなく、昨今はグループ会社間や自社の海外拠点、生産拠点の間での貿易取引もよく行われるため、物流ルートを検討する際に、関税コストもあわせて検討していく関税プランニングの考え方も浸透しつつあります。物品の種類、金額や量によっては関税コストや諸税などの輸入コストが、輸送費などの物流コストを上回ってしまうこともあるため、初期段階から関税について検討を進めることは非常に重要となります。

通常、このデータベースは関税率を1件調べるごとに費用がかかるのですが(1回検索するごとに7ドル)、日本の場合、JETROが契約しているため、日本居住者でJETRO経由でアカウントを取得すると、何回でも無料で使うことができます。

World tariffに登録できない場合

手順どおりに入力しても登録できない場合、上記のJETROの窓口へ問い合わせると対応して頂けます。通常の登録画面で入力してしまうと、有料になりますので、world tariff JETRO 登録と記載のある画面から登録作業を行う必要があります。

World tariffで関税を調べる方法

1.ユーザーIDとパスワードを取得後、入力しエンターキーを押します

2.ログイン後、最初の画面は検索手法を指定するページになっています。
HSコードでの検索やテキストでの検索ができますが、関税率特定のためにはHSコードによるものが最も確実で早い方法です。

3.検索オプションからHSコード検索を選ぶと、今度は「仕向国/輸出先」と関税を調べたい製品のHSコードのうち、頭から2ケタの「類」(Chapter)と、頭から4ケタの「項」(Heading)をプルダウンメニューから選択する画面となります。

仕向国(輸出先)とは、関税率を調べたい国となります。プルダウンメニューには多数の国が並びますので、選択中にアルファベットを打つことで、候補となる国を素早く選べます(Indonesiaを探す際にiを打てば、iからはじまる国を順番に選べる)。

HSコードの類や項については国が変わっても世界共通ですので、現地側で輸入通関に用いるHSコードがわからない場合は、関税を調べたい製品の日本でのHSコードを調べておくとスムーズに進めます。

4.仕向国と、HSコードの類・項を選択したら、右下にあるSubmitボタンをクリックします。

5.ここで5ケタ以降のHSコードの全番号が表示されます。HSコードについては6ケタまでは世界共通の番号体系ですが、7ケタ以降については桁数も含めて各国で自由に決めてよいことになっており、その最終的なHSコードをもって関税率が確定されます。たとえば、日本の輸入HSコードは9ケタ、インドのHSコードは8ケタとなり、両者は6ケタまでは共通ですが、それよりあとの桁数はその国独自のものとなります。

HSコードを確定させるための細目について英語で説明書きがありますので、関税を調べたい製品をその中から選びます。UOM(単位)とMFN(MFN税率)はこのページにもすでに表示されています。

6.上記のHSコードをクリックすると、HSコードの最終桁数まで含んだtariff itemのページが表示されます。ここで関税率が確定します。

ここには、輸出国が一覧として表示されており、それぞれの国から仕向国として選んだ国へものを送った場合に、仕向国側で徴収する関税と諸税の一覧が表示されています。

MFN Appliedと表示されている国との貿易ではWTO加盟国間で適用される通常の関税率が適用されることを意味します。この部分に何らかの協定名やGSPなどの記載がある場合は、条件を満たすことで特恵税率を適用させることが可能です。

ただし、注意点としては、一部発効間もない協定や協定締結時のHSコードが大きく変わってしまっているような場合、あるいはworld tariffが対象としていない協定については、個別に協定条文を調べる必要があります。



原産地規則の2つの基準とは

ある製品がその国における原産品であるかどうかを判定するための規則として、原産地規則が存在します。基本的には、その国で最終的な加工が施されており、その加工のレベルが一定以上のものであることか、自国内での付加価値が一定以上つけられていること等が求められますが、「原産地規則」は目的により複数の基準があり、一つの統一されたルールがあるわけではないため、用途によって使い分けていく必要があります。

原産地規則のポイントとなるのは、その国で採れたものだけで作られたものや、その国で採取されたものなど、明らかに原産資格を持つものだけでなく、他の国の原材料や部品を用いて製造したものでも、一定レベルの加工を行うことでその国の原産品となる点です。工業製品や日用品をはじめ、農産物や鉱物資源、水産物など以外はほとんどがこれに該当します。

前述した加工内容も含め、「日本製」の基準がどこかということになりますが、国内流通品であれば産品によって国内法や業界団体の定めた基準によって決まり、輸入品に対しては、輸入時にどこの国のものか判定する際に関税法で規定された原産地規則があります。またこの輸入時においても、経済連携協定や自由貿易協定などとして知られる貿易協定を用いて輸入する際の原産地の基準は、その協定文によって定められており、たいてい品物の種類によっても変わります。協定の関わらない一般的な輸出品については、法令により原産地規則が明記されたものはありませんので、関税法が準用される形になります。

こと貿易に限っていえば、原産地規則に関するルールとしては2つの基準が多くの貿易協定で使われており、これらはそれぞれ「付加価値基準(VAルール)」と「関税分類番号変更基準(CTCルール)」と呼ばれるものです。

付加価値基準で自国製とするためには、製品の最終加工を自国で行っており、製品の価格に占める割合のうち、利益や加工賃、国内輸送費、設計費などの材料・部品以外のコストと、自国製の材料・部品のコストの合計が、一定以上の割合であること、が求められます。この割合は、貿易協定によりまちまちですが、40%というラインがよく見られます。

関税分類番号変更基準で自国製とするためには、材料や部品が自国での最終加工を経て、製品に加工されたということを示せばよいというものです。方法としてはHSコードという関税分類番号を使って行います。あらゆる物には、貿易上、HSコードと呼ばれる番号がつけられており、この番号体系は似た種類の物品を番号ごとに分類したものになります。材料や部品につけられるHSコードと、製品につけられるHSコードが違うものであれば、一定レベル以上の加工を行ったとみなす、というものです。



taxとtariffの違い

Tariff(タリフ)とは一般的には関税を意味する用語です。運賃表などの意味でも使われることがありますが、貿易や税金の話などの場合は関税を意味します。

一方、Taxは税金のことであり、広い意味ではTariffもTaxの一部です。ただし、Taxだけでは何の税金なのかがわからないことが多く、暗黙の了解で付加価値税や物品税などを意味している場合もありますが、一般には何のtaxなのかその固有名称まで確認の必要があります。

輸入時には関税をかけることがほとんどですが、世界的には関税は低減の方向にあり、貿易の自由化を加速させようとする動きがある一方、特定の品目については高関税をかけて自国の産業を保護する政策も広くとられています。

あるものを輸入したり、日本に持ち帰ったり、外国から外国へ持ち込んだりするような場合に、関税がいくらかかるのかというのは輸入コストを見る上で重要なポイントですが、多くの国は関税以外にもさまざまなTaxを課していますので、きちんとコストを割り出すには、それらの金額も必要となります。

関税は安くとも、他の諸税によって輸入時にかかるコストが高い国は意外とあります。