マレーシアは領土が狭く、市場も小さいため、貿易への依存度が高く、貿易額は実にGDPの2倍以上にもなります。このため、通商政策として、各国との貿易協定の締結も積極的に行っています。
多くのWTO加盟国と同様に、原則としてはWTOによる貿易自由化に協調しつつ、実際にはWTOによる多国間の具体的な自由化が難しく世界共通の枠組みの創出が停滞している為、地域間、二国間協定で補完するという位置づけで各国とFTAを交渉、締結しています。
同国ではFTA締結の目的としては、関税、もしくは非関税障壁などの撤廃によるよりよい市場アクセスの創出、貿易・投資・経済発展の促進、マレーシア輸出者の競争力向上などを掲げています。
マレーシアの二国間協定は6カ国との間で発効しており、現在交渉中のものは5カ国(地域)になります。
なお、マレーシアの輸出品にGSP(一般特恵関税制度)が適用可能、つまりマレーシア産のものに特別に安い関税率であるGSP税率が適用可能な国は、オーストラリア、日本、カナダ、ノルウェー、EU、スイス、トルコ、ニュージーランドとなっています。
また、マレーシアはASEANの加盟国10カ国のうちの一つであり、ASEANが締結しているFTA協定やEPA協定を活用することもできます。
マレーシアのFTA締結国、交渉国
締結国、交渉国 | 協定概要、状況 |
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日本 | EPA。MJEPA(マレーシア-日本経済連携協定)2006年発効 |
パキスタン | MPCEPA(マレーシア-パキスタン経済緊密化協定)2008年発効。EPA。 |
ニュージーランド | MNZFTA(マレーシア-ニュージーランド自由貿易協定)2010年発効 |
チリ | MCFTA(マレーシア-チリ自由貿易協定)2012年発効 |
インド | MICECA(マレーシア-インド包括的経済協力協定)、2011年発効 |
オーストラリア | MAFTA(マレーシア-オーストラリア自由貿易協定)2013年1月発効。 |
D8特恵貿易協定(PTA) | イスラム諸国による8カ国間のPTA(特恵貿易協定)。バングラデシュ、インドネシア、イラン、マレーシア、エジプト、ナイジェリア、パキスタン、トルコ。特定の産品につき段階的に関税障壁を取り払うことを目的とする。マレーシアでは2008年批准。 |
TPS-OIC(OIC諸国=イスラム諸国会議機構での特恵貿易システム) | 枠組み協定としては2002年発効。現在までに25のOIC諸国が枠組み協定の批准を行う。 |
アメリカ | 通常、米国がFTAを締結する前段階で結ばれることの多い投資協定は2004年に調印済。2006年から交渉開始されるが、交渉は一旦中断となっている。TPP協定ではマレーシア、米国とも参加しているため、こちらでの交渉がメインになる予定。 |
トルコ | 2010年からFTA交渉開始。継続中。MTFTA(マレーシア-トルコ自由貿易協定) |
EU | 2010年FTA交渉開始。2012年時点では7回目の交渉が完了。13の作業部会を作り、交渉を継続している。 |
マレーシアのFTAに関する情報ソース、関連記事
- アジアのFTA多すぎ?(沖縄タイムス)
- マレーシアのFTAポータル(マレーシア国際貿易産業省)
- マレーシアの協定加盟状況(JETRO)
- 日本-マレーシア経済連携協定(外務省)
- 特恵貿易協定の締結状況(WTO公式)