個人輸入でも関税はかかるか

個人輸入であっても関税はかかりますが、これにはいくつか例外があります。品物の種類と用途、その金額によっては関税がかからない場合があるからです。

1.簡易税率が適用されるケース

物品の種類にもよりますが、輸入する物品の価格(本体小売価格+輸送費用+保険費用)が10万円以下の場合は、一般の関税率ではなく、簡易税率を適用させることができます(簡易税率に該当するケースでも、一般関税率を適用させることも可)。

一般関税率の場合、5000を超える関税分類からさらに該当する分類番号となるHSコードを特定させないと税率を見つけることもできませんが、この簡易税率は7つしか分類がありません。関税率を定めている「関税定率法」の中に記載の「付表第二 少額輸入貨物に対する簡易税率表(第三条の三関係)」に対応するHSコードとその税率が規定されています。

簡易税率の内訳の例を挙げると下記の通りです。2204.10などの数字の部分がHSコードとなりますので、HSコードの一覧とあわせてご確認ください。

簡易税率が適用される品目の関税率
分類 分類される品目 簡易税率
1.酒類 (1)2204.10から2204.29までに該当するもの、2205.10から2205.90の2に該当するもの 1リットル当たり70円の関税
(2)2208.90の1の(2)のうち、Bの(b) 1リットル当たり20円
(3)2106.90の2(2)のDの(b)、第2204.30の2、第2206.00の2の(1)若しくは(2)のA若しくはBの(b)、第2207.10号の1の(2)のB若しくは2の(2)又は第2208.90号の1の(2)のAの(b)若しくは二の(一)若しくは(三)に掲げる物品 1リットル当たり30円
2.トマトソース、氷菓、なめした毛皮(ドロップスキン)、毛皮製品 等 HSコード:2103.20、2105.00、4302.30、4303項 20%
3.コーヒー、茶(紅茶を除く)、なめした毛皮(ドロップスキンを除く) 等 0901.21、0901.22、0902.10、0902.20の2、
0902.30のうち紅茶以外、0902.40の2の(2)、3503.00の3、4302.11から4302.20まで、4302.30の2
15%
4.衣類及び衣類附属品(メリヤス編み又はクロセ編みのものを除く) 等 第1類から4類、7類、8類、0910.11の1、0910.12の1、1212.21、16類から20類、21類(先に記述した1、2に該当したものは除外)、2905.44、2918.14、2918.15の1、2922.42の1、2940.00の2、4421.90、46類、5007項、53類、60類、62類 10%
5.樹木、鉱物性燃料、有機化学品、無機化学品、ガラス、金属、家具、おもちゃ等 第6類、第27類、28類、29類(4で記述したものは除外)、32類から34類、38類、43類(2,3で述べたものは除外)、59類、66類から68類、70類(7018項を除く)、74類から76類、78類、79類、81類から83類、94類、95類 3%
6.動物性製品、塩、硫黄、石、医薬用のゲル、ゴムとその製品、紙とその製品、鉄鋼製品、錫製品 第5類、25類、3006.70、40類、48類、69類、72類、73類、80類 無税
7.そのほか 1~6になかった物品 すべて5%

注意:課税価額が10万円以下でもこの簡易税率が適用されない品目もあり、例えば下記のようなものです。この場合は、一般関税率適用となります。

  • 米などの穀物とその調製品
  • ミルク、クリームなどとその調整品
  • ハムや牛肉缶詰などの食肉調製品
  • たばこ、精製塩
  • 旅行用具、ハンドバッグなどの革製品
  • ニット製衣類
  • 履物
  • 身辺用模造細貨類(卑金属製のものを除く)

2.関税がかからないケース

1万円以下の場合

課税価格である輸入する物品の価格(本体小売価格+輸送費用+保険費用)が1万円以下の場合、関税と消費税(+含む地方消費税)がかかりません。ただし、個人的に使用されるものや、日本在住の人に送るプレゼント、ギフトではない場合、革製のバッグ、手袋や靴類、履物類、スキー靴、ニット製の衣類、パンストやタイツなどは1万円以下であっても、関税の免除はありません。

個人で使うために輸入する場合

まず、海外から輸入したものを転売などをせず、自分自身で個人的に使用するような品物である場合、関税率をかける元となる課税価格が、下がります。

具体的には、海外での小売価格となっている本体価格部分に0.6をかけた値となります。例えば10000円のものを海外ネットショップや海外のネットオークションで買った場合、この本体価格は10000円の60%となります。それに輸送費(日本の港までの輸送費)と保険料を足したものが輸入物品の価格(課税価格)となります。

凡そ16600円以下でかつ個人で使うために輸入する場合

個人で使うものの場合、本体小売価格が0.6掛けで計算されます。このため、1万以下は関税が免税されるというルールが、下記の式により、16666円となります。

海外小売価格 x 0.6(個人利用の場合、評価価格が60%) = 10000(1万円以下免税)

海外小売価格=約16666円