韓国のFTAとEPA

貿易依存度の高い韓国はFTA・EPA協定の締結を強力に進めており、米国・EU・ASEANなどの大きな経済圏をはじめ、多数の国と地域との間で戦略的な関係を築いています。チリやシンガポールなどと並び、FTA・EPA先進国の一つといえます。もっとも、巨大経済圏である米国やEUとの交渉では、韓国にとっては大きく譲歩せざるを得なかった部分が条項から見て取れます。自国にとって何を優先するのか、何を残し、何を守るのかという方針が比較的明確な交渉でもありました。

日中韓の三国間でのEPA、FTA交渉も開始され、またASEAN+6のRCEPという世界の貿易量の3割を占める巨大地域での交渉もまもなく始まろうとしています。すでにEUと米国との間で協定を結んでいる韓国にとって、さらなる貿易圏拡大と、長らくこう着状態にあった日本との交渉結果次第では、様々な物品の商流、物流が変わる可能性もあります。

日系カーメーカーは、韓国へ日本車を販売する際、米国やEU経由で輸出しています。米韓FTAやEU韓FTAを使えば、通常は8%もの関税がかけられる自動車が、半分以下になるためです。仮に一台500万円の自動車を5000台韓国に入れるとしたら、日本経由ならば関税額は20億にもなってしまいます。米韓FTAを使えばこれが4%の関税率になるため、単純に10億円も安くなることになります。

韓国のFTA締結国、交渉国の一覧

締結国、協定国 状況
韓国・チリFTA 2004年4月1日発効
韓国・シンガポールFTA 2006年3月2日発効
韓国・EFTA FTA 2006年9月1日発効
韓国・ASEAN FTA 物品貿易:2007年6月1日発効、サービス貿易:2009年5月1日発効、投資分野:2009年9月1日発効
韓国・インド CEPA 2010年1月1日発効
韓国・EU FTA 2011年7月1日暫定発効
韓国・ペルーFTA 2011年8月1日発効
韓国・米国FTA 2012年3月15日発効
韓国・トルコFTA(枠組み協定・物品貿易協定) 妥結。2012年8月1日正式署名。
韓国・コロンビアFTA 2012年6月25日、交渉妥結宣言。
韓国・カナダFTA 交渉中(2005年7月~)
韓国・メキシコFTA 交渉中。2006年2月開始・6月中断の後、2007年12月に再開。
韓国・GCC FTA交渉中(2008年7月~)
韓国・ニュージーランドFTA 交渉中(2009年6月~)
韓国・オーストラリアFTA 交渉中(2009年5月~)
韓国・トルコFTA(サービス・投資協定、その他の協定) 交渉中(2010年4月~)
韓国・ベトナムFTA 交渉開始(2012年8月6日)
韓国・インドネシア 共同研究を開始することで合意。2011年。
韓国-日本 2003年~
韓国-中国 2011年~
韓国-ロシア 共同研究中。2007年~
韓国-メルコスール 2009年、覚書著名(貿易と投資の増進のための共同協議体設立了解覚書(MOU) 署名)
韓国-イスラエル 共同研究終了
韓国-SACU(南アフリカ関税同盟) 共同研究することに合意。2008年。
韓国-マレーシア 2011年研究開始。

韓国への輸入時にかかる関税以外の諸税

VAT(付加価値税)として10%。
計算方式は”Duty paid value”を採用。

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