GSPはGeneralized System of Preferences(一般特恵関税制度)の頭文字からとった略称で、開発途上国からの輸出品に適用される特別な関税率のことをいいます。
趣旨としては、先進諸国に比べて決して有利とはいえないビジネス環境にある開発途上国について、産業の発展、開発の促進、工業化などを進めるために国連で決議された特別措置に基づくものです。このため、GSP税率は特恵関税率ともいわれ、一般の関税率よりも低く設定されています。
日本もこのスキームには参加しており、認定された国からの輸入品についてはこの特恵関税率(GSP税率)を適用させることが出来ます。認定国は世銀の所得統計などによっても変わります。日本の場合、2012年現在では、138カ国がGSP制度を利用できる特恵受益国として認定されています。
なお、GSP税率は品目によっては適用できないものもあります。工業製品、鉱工業品は一部の品目除くと原則として全ての品目に適用できますが、農産品、水産品については選定された品目について適用が可能となっています。
特恵税率は農水産物については、一般税率よりも低くすることが決められており、工業品については原則無税で、品目によっては一般税率の20%、40%、60%、80%に相当する税率がかけられます。
また、GSP対象国の産品を過度に優遇することで自国の産業に支障が出ないような仕組みもあります。日本で採用されているエスケープ・クローズ方式と呼ばれる手法は、国内産業にダメージがある場合、政令によって特恵の適用を中止できるものです。
日本が対象としているGSPの対象国は以下のとおりです。これはEUや米国など、それぞれの国のGSPによって異なりますので、留意が必要です。
アゼルバイジャン,アフガニスタン,アルジェリア,アルゼンチン,アルバニア,アルメニア,アンゴラ,アンティグア・バーブーダ,イエメン,イラク,イラン,インド,インドネシア,ウガンダ,ウクライナ,ウズベキスタン,ウルグアイ,エクアドル,エジプト,エチオピア,エリトリア,エルサルバドル
ガーナ,カーボベルデ,ガイアナ,カザフスタン,ガボン,カメルーン,ガンビア,カンボジア,ギニア,ギニアビサウ,キューバ,キリバス,キルギス,グアテマラ,クック諸島地域,グルジア,グレナダ,クロアチア,ケニア,コートジボワール,コスタリカ,コソボ,コモロ,コロンビア,コンゴ共和国,コンゴ民主共和国
サモア,サントメ・プリンシペ,ザンビア,シエラレオネ,ジブチ,ジャマイカ,シリア,ジンバブエ,スーダン,スリナム,スリランカ,スワジランド,セーシェル,赤道ギニア,セネガル,セルビア,セントクリストファー・ネーヴィス,セントビンセント,セントヘレナ及びその附属諸島地域,セントルシア,ソマリア,ソロモン
タジキスタン,タンザニア,チャド,中央アフリカ,中華人民共和国(香港地域及びマカオ地域を除く。),チュニジア,チリ,ツバル,トーゴ,トケラウ諸島地域,ドミニカ,ドミニカ共和国,トルクメニスタン,トルコ,トンガ
ナイジェリア,ナミビア,ニウエ島地域,ニカラグア,ニジェール,ネパール
ハイチ,パキスタン,パナマ,バヌアツ,パプアニューギニア,パラオ,パラグアイ,バングラデシュ,東ティモール,フィジー,フィリピン,ブータン,ブラジル,ブルキナファソ,ブルンジ,米領サモア地域,ベトナム,ベナン,ベネズエラ,ベラルーシ,ベリーズ,ペルー,ボスニア・ヘルツェゴビナ,ボツワナ,ボリビア,ホンジュラス
マーシャル,マケドニア旧ユーゴスラビア共和国,マダガスカル,マラウイ,マリ,マレーシア,ミクロネシア,南アフリカ共和国,ミャンマー,メキシコ,モーリシャス,モーリタニア,モザンビーク,モルディブ,モルドバ,モロッコ,モンゴル,モンテネグロ,モントセラト地域
ヨルダン,ヨルダン川西岸及びガザ地域
ラオス,リビア,リベリア,ルワンダ,レソト,レバノン