関税がかからないもの

関税率がゼロとして設定されているものではなく、もともと関税自体がかからないものにはどういうものがあるのか列挙していきます。ちなみに、日本の場合は多くの工業製品の関税率は0%にまで落ちているため、こうした製品を輸入する場合は、消費税のみがかかります。

現に、税関で輸入品に対してかけられる税金の収入(歳入)は年間約5兆円となりますが、このうち関税額による収入は約8600億円前後になりますので、農産物等特定のもの以外の関税率がいかに下がっているかがわかると思います(消費税が5%の際のデータ)。

ソフトウェアにおけるデータ

原則として、記録する媒体だけに関税はかかります。DVDに記録されたソフトウェアの場合、空のDVD自体には関税がかかりますが、データ部分には関税がかかりません

例:DVDが100円、データ部分が9900円、関税率が10%ならば、関税額は100円x10%=10円となります。ただし、通関インボイスのなかで単にソフトウェア10000円と記載があった場合は、10000円に対して関税がかかりますので、10000円x10%=1000円となります。ちなみに、日本の場合は、DVD媒体自体の関税率はゼロとなっています。

データ全般

音楽データやソフトウェアのデータなどダウンロードやメール等でやり取りされるものはいずれも税関を経由せず、関税の対象外となります。

著作権、知的所有権、ロイヤリティ、ライセンス料等

関税は原則として物品に対してのみかけられます。物がまったく動かない権利や金銭の授受そのものに対しては、関税はかかりません。ただし、輸入や輸出取引の条件に、これらが入っているような場合は、加算要素として輸入申告の際の課税価格にこれらの金額を輸入品の現実支払い価格に加算しなくてはならない場合があります。これら権利自体のやり取りで関税は発生しません。

現金

現金は紙幣や硬貨など形のある「物」ではありますが、これ自体に関税はかかりません。硬貨や紙幣の素材などを輸入する際には、関税はかかりますが、現金や有価証券等、こうした性質を持つものには関税はかかりません。

なお、関税がかからないことと、関税率がゼロであると言うことは別物です。さらに、関税の有無と、通関・申告の問題はまた別です。