関税における延滞税

関税の支払いに不足があることが後で分かった場合、ペナルティとして過少申告加算税無申告加算税重加算税などが課せられますが、この延滞税もこうしたペナルティとして課せられる「附帯税」の一つです。

具体的には、法定納期限の翌日から関税を納付する日までの日数に応じてかけられる延滞金であり、納付が遅れるほどに金額も膨らんでいく類の税金です。

延滞税率は、関税法の附則によって変わるのですが、規定上は、納期限の翌日から2月を経過する日までは年率7.3%で、これが2月を経過した以降は年率14.6%の税率となります。
ただ、年率7.3%の部分については、実際には、前年の11月30日時点で日本銀行が定めた公定歩合に4%を加えた税率と7.3%のうちのどちらか低いほうが適用されることになっています。公定歩合(基準割引率)が低く抑えられている昨今では、7.3%が適用されない状況です。

関税の納期限、つまり関税を納めねばならない納入期限には二通りあります。まず、法定納期限といわれる期限は、輸入許可日です。したがって、あとから修正申告で支払う場合であっても、「延滞日数」はこの法定納期限の翌日から実際の関税納入日までの日数の合計となります。

ただし、延滞税の税率が変わるタイミングである、二月を経過しているかどうか、というのはこの「法定納期限」から起算するのではなく、実際の「納期限」から二月経過しているかどうかという点で判断します。修正申告を行った場合は、その修正申告を行った日が「納期限」となります。この日に支払うのが一般的ですが、もし支払わずにこの日の翌日から2月経過してしまった場合は、その2月経過以降の日数に対しては年率14.6%の延滞税が課せられることになります。

延滞税の計算方法の例をあげてみます。
まず、当初3月2日に輸入許可が下りたものの、あとでインボイスの金額間違いが発覚し、修正申告を自ら行った場合です。

2013年3月1日 輸入申告日
2013年3月2日 輸入許可日
2013年6月2日 修正申告を行い、関税額を納付した日(関税額2,005,000円)

まず、延滞日数は次の通りです。
3月3日から3月31日 29日
4月1日から4月30日 30日
5月1日から5月30日 30日
6月1日から6月2日 2日

合計91日

2,000,000円x7.3% x 91/365 =36400円(100円未満切捨)
1万円未満は切捨てとなるため、200万円で計算

この計算でいくと、「納期限」は修正申告を行った日である6月2日であり、この日に支払いがあるため、二段階目の延滞税率である14.6%の要件を満たさないため、一段階目の延滞税率のみの適用となります。

なお、延滞税は申告納税方式、賦課課税方式のいずれでもなく、税額も発生すると同時に決まってしまう税金です。