関税における重加算税

支払うべき関税が本来よりも少なく、事実を隠蔽・仮装して支払うべき税額を少なくしていた、もしくは無申告だったと認められる部分には、重加算税が課せられます。

これを課せられる場合というのは、前述の通り、何らかの「隠ぺいや仮装」があったとされた場合です。したがって、悪質な関税脱税のケースについてのみ適用されます。関税法についての知識がないことに起因するような申告額がただ低かったというだけではこの税率は適用されません。

関税における重加算税の税率は、次の二通りがあります。

過少申告加算税に該当する場合で、隠蔽や仮装があった場合は増差税額(正しい関税額-当初申告した関税額)に35%をかけた金額が課せられます。

無申告加算税に該当する場合で、上記と同様に隠蔽や仮装があった場合には、これが40%の税率となります。

いずれも本来の関税額を支払うことはもちろんですが、足りなかった金額、つまり増差税額に対しての税率がエクストラで課せられることになる制度です。

重加算税の適用要件となっている「隠蔽(隠ぺい)」や「仮装」とは、「仕入書など輸入貨物の課税標準を明らかにする書類の破棄又は改ざんがなされた」場合、「特恵税率を適用するため、原産地証明書を偽造した場合や虚偽の申請に基づき原産地証明書の交付を受けた」場合、「関税割当品目に該当する貨物を他の輸入貨物に紛れ込ませるなど、輸入の許可を受けないで貨物を輸入しようとする」場合、「税関職員の質問に対し虚偽の答弁を行っているなど、その一連の事実関係から判断して、輸入(納税)申告時における隠ぺい又は仮装が推認できる」場合のいずれかを言います。

不足税額が1万円未満の場合は免税、計算の結果、重加算税が5000円未満となる場合も免税となるため、支払いが不要となります。計算額5000円以上の場合に徴収されますが、100円未満は切り捨てられます。