輸入割当は自国へ入ってくる物品を政府が直接コントロールする数量制限の一種で、国際市況価格や物価、為替などに関係なく、ある物品について自国に輸入できる数量を決めてしまい、それをオーバーするものは輸入自体をできなくする制度です。
これを行うことで、指定された物品の国内価格は高止まり(あるいは上昇)することになり、輸入量も限られることから、市場に出回る数自体が限られてきます。高関税を課す場合と似た効果ではありますが、両者の決定的な違いとしては、輸入割当においてはそもそも輸入割当枠を得られなかった場合には輸入自体がまったくできないという点です。また決められた枠内を超える数量も輸入できません。また、高関税であれば、関税収入は政府に入ることになりますが、輸入割当の場合、枠を得たもの(ライセンスを取得できたもの)の利益に資することになります。
WTO(世界貿易機関)では、貿易における世界の共通ルールを定めていますが、その中でこうした「数量制限」は「原則」としては禁止されています。これは数量制限をかける対象や相手国を恣意的に選定することができることになるため、公平性や透明性に欠くとの理由です。ただ実際には自国で保護が必要な品目について、輸入割当を課す国もあります。