FTAとWTOの違い

WTOとFTAの関係は、語弊を恐れずに言えば、WTOで貿易の自由化を進めるのが難しくなったので、FTAが活発化したというものです。

WTOは世界貿易機関、FTAは自由貿易協定の略です。WTOは、ほぼ全世界の国が加盟し、貿易に関するルール等を取り決めている機関ですが、ここで決まったことは全加盟国でのルールとなるのが原則です。例えば、ある品目についての関税を大きく下げたり、撤廃するというような決定となれば、加盟国すべてに影響を及ぼします。多数決で決まる国連のような決議方式ではなく、ラウンドと呼ばれる多角的交渉は参加国の全員一致が原則となります(参加国の反対がないこと。ネガティブコンセンサス方式)。

対して、FTA(自由貿易協定)やEPA(経済連携協定)、PTA(特恵貿易協定)というのは、二国間や多国間などで個別に、どの品目について関税を低減するのか、あるいは撤廃するのかということを当事者間だけの協定で取り決めて、協定を結んだ国同士の貿易にだけ適用させようとするものです。

以前は現在のFTAが行っている関税を減免することで貿易の自由化を進めて、物品のやり取りを活発化させるというようなことはWTOとその前進の通商交渉であるGATTで行われていましたが、加盟国が多くなり、かつ利害がぶつかり合う多くの国が特定の品目について一律に関税を撤廃させることが難しくなり、各国ごとの個別交渉によって貿易協定の交渉が進んだという背景があります。

WTOの役割は、貿易の自由化だけでなく、紛争解決や貿易ルールを守らせたり、貿易政策を監視したりする等もあり、これだけ多くの国が関わる国際通商ルールを協議する場としては世界隋一のものとなっています。