ASEANのFTAとEPA

ASEAN加盟国はブルネイ、カンボジア、インドネシア、ラオス、マレーシア、ミャンマー、フィリピン、シンガポール、タイ、ベトナムの10カ国ですが、協定によっては発効日や条件、タリフスケジュールなどが国ごとに異なることがあります。

ASEANは便宜上、ASEAN6(ブルネイ、インドネシア、マレーシア、フィリピン、シンガポール、タイ)とCLMV(カンボジア、ラオス、ミャンマー、ベトナム)とに分けられて条件が設定されることもあります。

ASEAN諸国はここ最近、活発にFTA協定やEPA協定の締結を各国と模索しており、ASEANそのものでの締結が難しいEU等の相手には国ごとに交渉を行っています。

基本的にASEAN諸国間ではAFTAと呼ばれる自由貿易協定圏を構築しているため、ほとんどの品目で関税がかかりません。この適用にはフォームD(form D)と呼ばれる原産地証明書を用います。一旦ASEAN圏内に入れば、関税なしで物品の移動が可能となるため、シンガポールなどFTA交渉を盛んに行っている国を経由した貿易も行われています。

日本もそうですが、ASEANと協定を結びつつも、それぞれのASEAN加盟国とも協定を結ぶ国もあります。こうした場合は、より有利な協定を輸出入を行う者が決めることができ、対応する原産地証明をはじめとする書類を入手し、認められれば、有利なほうの協定での関税減免が受けられます。

ASEANのFTAの一覧表(交渉中、研究中、締結済み)
締結国、協定国、協定名称 状況
ASEAN自由貿易地域(AFTA) 1993年に共通効果特恵関税(CEPT)発効、2010年ASEAN物品協定(ATIGA)発効。ATIGAがCEPTに取って代わる。
ASEAN-日本 2008年発効(但しインドネシアは未発効。)
ASEAN-中国 2003年タイEH(アーリーハーベスト)発効、2005年関税引き下げ開始、関税撤廃はASEAN6で2010年、CLMVで2015年。2011年修正議定書発効。
ASEAN-韓国(AKFTA) 2010年先行加盟国で関税撤廃(ベトナムは2016年、カンボジア、ラオス、ミャンマーは2018年)
ASEAN-インド(AIFTA) 2010年にインド、タイ、マレーシア、シンガポール、ベトナム、ミャンマー、インドネシアで発効、2011年にブルネイ、フィリピンで発効。2013年末に関税撤廃予定(但しフィリピンとCLMV諸国は2016年末)
ASEAN-オーストラリア-ニュージーランド
(AANZFTA)
以下のスケジュールで発効
オーストラリア:2010年1月
ニュージーランド:2010年1月
ブルネイ:2010年1月
ミャンマー:2010年1月
マレーシア:2010年1月
フィリピン:2010年1月
シンガポール:2010年1月
ベトナム:2010年1月
タイ:2010年3月
ラオス:2011年1月
カンボジア:2011年1月
インドネシア:2012年1月
EAFTA(イーフタ) ASEAN+3:ASEAN+日本、中国、韓国による自由貿易経済圏の構想。中国が提案。現在はRCEPが交渉開始合意となっており、より大きなRCEPでの実現の可能性。
CEPEA(セピア) ASEAN+6:ASEAN+日本、中国、韓国、オーストラリア、ニュージーランド、インドによる自由貿易圏構想。日本が提案。現在、交渉合意となったRCEPの原型。
ASEAN-GCC 2009年6月に共同研究を開始することに合意。
ASEAN-パキスタン 2008年10月、FTA研究終了
ASEAN-EU 交渉中断。EU側が二国間交渉へ方針転換。ASEANそのものとは交渉を行わず、タイやシンガポール、マレーシア、ベトナムなどと既に個別に交渉。

ASEANに輸入時にかかる関税以外の諸税

関税以外の諸税等は加盟国の税制により異なります。

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