アメリカのFTA、EPAの締結国

アメリカのFTA、EPA協定の概要

現在、TPPとTTIP(米-EU)のFTA実現のために注力しています。

オバマ政権は輸出倍増を政策に掲げており、関税障壁の撤廃を含む貿易自由化の直近の成果としては2012年の米韓FTAやコロンビアとのFTA協定があげられます。

現在、米国は世界一の経済大国ではありますが、貿易協定から見ると他の巨大な経済圏・貿易圏と積極的に貿易自由化や経済連携を進めているというわけではなく、むしろ自由貿易協定については経済規模に比して遅れているという印象がするかもしれません。米財界、産業界からはEU、日本といった大きな経済圏との交渉を望む声が強くありますが、現在のところ両者とも実現には至っていません。

オバマ政権は2期目に入り、一般教書演説にてTPPの実現と、米国-EUの各経済圏を巻き込んだ「環大西洋自由貿易協定(TAFTA)」の実現に意欲を見せ、2013年の半ばにも米EUのFTA(EPA)交渉が開始する見込みとなっています。米EUとの間で自由貿易圏が完成すると、世界全体の貿易量の約3割を占めることになり、世界最大の自由貿易圏となります。この協定は他の協定や交渉中の協定にも影響することは必至です。

現時点では、アメリカ合衆国が現在交渉中のFTA、EPAはTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)のみですが、上記のように各国を取り巻く状況はめまぐるしく変化しつつあります。

アメリカが今まで締結してきた貿易協定そのものは、基本的に協定国間での経済的な利益に資するものですが、米国の締結する協定の中には特に政治的な理由や安全保障上の思惑も見え隠れするものもあります。米国の場合、包括的な経済連携を目指す内容の協定が多い為、FTA交渉の前段階で、二国間投資協定(BIT)や貿易投資枠組協定(TIFA)を締結する傾向がありますが、国によってはこのステップを踏まえないこともあります。

米国のFTAは、関税撤廃やサービスの自由化のみならず、投資、知的財産権、政府調達、透明性及び貿易相手国の租税や規制制度から生じる非関税障壁も含む包括的な内容で、どちらかといえばEPAに近い性質を持つものです。

米国は多国間協定としてはNAFTA(米国、カナダ、メキシコ)、CAFTA-DR(中米5カ国・ドミニカ)、二国間協定としては、12カ国との間でFTAが発効しています(合計20カ国との間で自由貿易協定)。いずれも米国との政治的な結びつきの強い国でもあります。

アメリカが締結するFTAの一覧(20カ国との間で発効)

米国-オーストラリアFTA 2005年1月発効

米国-バーレーンFTA 2006年1月発効

米国-カナダ-メキシコ(NAFTA) 1994年発効。世界最大の貿易圏。

米国-チリFTA 2004年1月発効

米国-コロンビアFTA 2012年5月発効

米国-イスラエルFTA 1985年9月発効

米国-ヨルダンFTA 2001年12月発効

米国-韓国FTA 2012年3月発効

米国-モロッコFTA 2006年1月発効

米国-オマーンFTA 2009年1月発効

米国-パナマFTA 2012年10月31日発効

米国-ペルーFTA 2009年2月発効

米国-シンガポールFTA 2004年1月発効

中米5カ国・ドミニカ共和国とのFTA(CAFTA-DR)
中米5カ国の内訳はエルサルバドル、グアテマラ、ホンジュラス、ニカラグア、コスタリカ。発効時期が国により異なり、エルサルバドル(2006年3月)、ホンジュラス、ニカラグア(以上06年4月)、グアテマラ(06年7月)、ドミニカ共和国(07年3月)、コスタリカ(09年1月)となっている。

アメリカが交渉中のFTA

TPP(環太平洋パートナーシップ協定)交渉中
米国-EU(NAFTA、EU、EFTAを巻き込んだ環大西洋自由貿易協定(TAFTA))交渉開始予定

アメリカで交渉が中断しているFTA

米国-エクアドルFTA交渉
2004年5月に交渉開始。2006年以降交渉中断中。

米国-タイFTA交渉
2004年6月交渉開始。クーデター後、2006年から交渉中断。

米国-南部アフリカ関税同盟(SACU)
南アフリカ、ボツワナ、ナミビア、レソト、スワジランド。
2003年交渉開始、2006年交渉中断。

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