ニュージーランドのFTA

ニュージーランドは日本と同様に島国で、面積や人口も多くなく、貿易依存度の高い国です。年々、GDPに占める割合は低下しているものの、農業も基幹産業のひとつとなっていることから、酪農製品、肉類、林産品、水産物の第一次産品で輸出の6割前後を占める経済構造になっており、農業を国内的に保護している国とは協定交渉のハードルが高くなっているのが実情です。同国は、FTA(自由貿易協定)のほか、経済緊密化協定(CEP)を好んで締結する傾向にあります。日本で言うEPA(経済連携協定)に相当する協定で、物品の関税低減に止まらない包括的な内容となっています。

海を隔てた隣国のオーストラリアとは政治的・経済的に深い関わりがあり、早くから包括的なFTAの一つである経済緊密化協定を締結しています。

RCEPやTPPなど環太平洋エリアの大型の通商協定にも参加国として入っており、FTA協定の締結にも決して消極的ではありません。同国の外務貿易省でも、活発化する他国同士の通商協定の締結に関し、自国の輸出者が不利にならないようにする為にも通商協定の締結が必要だとしています。

発効済の多国間協定としては、ASEANとオーストラリア、ニュージーランドとの間で発効されているAANZFTA、TPPのうち初期参加4カ国で締結されているP4があり、ASEAN諸国とオーストラリアへの市場アクセスは良好な通商環境にあります。

ニュージーランドのFTA締結国、交渉国の一覧

ニュージーランドのFTA締結国、交渉国の一覧
締結国、交渉国 協定状況
ニュージーランド-香港CEP 経済緊密化協定。2011年発効
マレーシア 2010年発効。
ASEAN-オーストラリア-ニュージーランド 2010年発効
中国 2008年発効
環太平洋戦略的経済パートナーシップ(TPP) Australia, Brunei Darussalam, Chile, Malaysia, Peru, Singapore, the United States, Viet Nam and New Zealand. (ブルネイ、チリ、ニュージーランド、シンガポールの4カ国での協定:P4は2005年発効)
ニュージーランド-タイ経済緊密化協定 2005年発効
ニュージーランド-シンガポール経済緊密化協定 2001年発効
オーストラリア-ニュージーランド経済緊密化協定 1983年発効
GCC 交渉完結しているが、署名はまだ終わっていない。
ニュージーランド-ロシア-ベラルーシ-カザフスタンFTA 2011年交渉開始。継続中。
インド 17番目に大きい貿易相手国。FTA交渉。2010年交渉開始。
韓国 FTA交渉。貿易相手としては5番目に大きい。2009年交渉開始。
RCEP 2012年交渉開始に合意。2013年交渉開始予定。ASEAN10カ国とASEANと協定を結んでいる6カ国(日本、中国、韓国、インド、オーストラリア、ニュージーランド)との合計16カ国を対象とする経済連携協定。
日本 2006年~2009年に通商・投資協定の可能性について模索する為、ワーキンググループが設立された。
台湾 2012年、台湾・ニュージーランド経済協力協定について共同研究を開始。ECA(Economic Cooperation Agreement)

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