累積は、EPAやFTAなどの貿易協定に設けられた原産地規則の一つで、救済規定の一つとも言われますが、現在、ほとんどの経済連携協定ではこの累積(ACU)が採用されています。
一言で言えば、相手国の原産品も自国の原産品として扱うことができる、というルールです。あるいは、相手国での生産を自国で生産したものとして扱えるとも言えます。
累積は付加価値基準、関税分類番号変更基準の双方で使うことができる規定で、この規定が使えるかどうかは、協定条文の本文に記載されています。今まで基準値を満たすことができなかったものでも、相手国原産品を用いているような場合、基準値を満たすことができる可能性も出てきます。
この累積規定は、日本が結ぶ経済連携協定だけでなく、他国のFTAでもわりとよく使われる規程のひとつです。FTAは協定を締結した国同士の利益に資するものであればよいため、双方の原産品だけを優遇します。こうした趣旨の為、累積とは本来的に相性がよく、導入されやすい救済規定といえます。
ただし、多国間協定の場合の累積の扱いは、それぞれの協定国の付加価値を単に加算するのではなく、それぞれの国で仕上げられた部品に対して、原産品判定を個別に行い、最終加工国で原産資格を見ることになります。
特に、多国間協定の場合には協定によってルールが違うことがあるため、累積がどのような場合に適用されるのかを調べておく必要があります。