付加価値基準と関税分類番号変更基準の双方が求められる場合

日インド協定や日メキシコ協定など、原産地規則のうち、多くの品目の一般規則で付加価値基準と関税分類番号変更基準の二つを同時に満たしておかねばならない協定の場合、一通の計算書で申請を行っても、二通に分けてもよいことになっています。

ここで問題となるのが、VA基準とCTC基準の内容に違いがあってもよいかどうかという点です。実務上、CTC基準は多くの部品や材料から製品が構成されるような場合、合理的な範囲で「かたまり」としてそれらを管理できることになっています。この結果、例えば、ある品目を構成する総部品が2万点あったとしても、それを合理的な範囲でかたまりとして管理し、構成要素が2つや3つといった具合に、非常に大きな括りでまとめることができるようになります。

一方で、VA基準は原価構成から、原産材料と非原産材料を分けて記載したり、あるいは利益や輸送費、工賃といった「非材料」の部分から、原産率を割り出して、日本の原産資格があるかどうかを証明する方法です。こちらについても、例えば2万点で構成される製品があったとして、それらのすべてを付加価値基準の計算書に記載する必要はなく、ある程度の「かたまり」で管理することができます。

このVA基準とCTC基準を一つの品目で併用すると、部品構成が一致しないという問題が起きることがあります。特に、VA基準で非材料費からのアプローチによって利益や輸送費、設計費、製造コストのみから原産資格を証明するような場合、原産品を割り出す必要がないため、特に構成要素の不一致が起きることがあります。

実際の判定申請においては、VA基準の構成要素とCTC基準の構成要素が同じである必要はなく、各々の基準を別個に判定するための書類を作成して判定を依頼することもできます。

つまり、VA基準を単体で見て原産資格を満たしており、CTC基準についても単体で見て原産資格を満たしているのであれば、双方を満たしているということになります。