EPAやFTAで使う同意通知書とは、メーカー等で特定原産地証明書を取得し、それを商社など自社以外の輸出者にその証明書の利用を許可するための通知です。いったん、その許可を出した後は、輸出者は3年間、その特定原産地証明書を貿易で使うことができるようになります。3年経過したのちは、また取得者に対して、同意通知を発行してもらうよう、依頼する必要がありますが、特に手間はなく、実質、発給システムのウェブから数クリックするだけで処理は完了します。
特定原産地証明書の判定依頼には、その製品の構成要素や、場合によっては原価構成が必要になるため、輸出者が必ず判定依頼をするわけにいかないことがあります。特定原産地証明書そのものの発給申請は、関税の減免を受けるため、現地の税関に提出する証明書ですので、「輸出者」のみが発給申請しますが、発給申請できる状態にするためには、日本商工会議所に「判定依頼」を行い、OKをもらう必要があります。
この判定依頼については、生産者、輸出者ともにできますが、生産者が製品のノウハウ的な部分や価格構成を知られたくない場合、輸出者にこれらの情報が開示されないため、輸出者が判定依頼することはできなくなります。かわりに、生産者に判定依頼をしてもらい、生産者自ら発給申請できるようになった状態で、システムの中において「同意通知」を行うと、指定した会社に、指定した製品の特定原産地証明を利用する権限を与えることができます。
許可する相手企業の情報と、どの特定原産地証明書について許可するのかが明確であれば、日本商工会議所の特定原産地証明書発給システム(Web)から、いつでも同意通知の発行が可能です。
注意が必要なのは、判定依頼によってOKとなった品目の判定結果には有効期限がないのですが、同意通知には、相手企業に同意通知を出してから3年となりますので、輸出直前にそれが判明して、あわてて生産者に連絡をとっても、休日などで対応できない場合、発給申請が遅れることになります。