販売している製品の原産国、原産品の証明を顧客から求められた

昨今増加している、顧客から「原産地証明書」を発行してほしい、取得してほしいといわれる事例です。海外向けに輸出されている物品の場合、相手国との間で締結しているFTAやEPAなどの協定によっては、関税の減免が受けられることがあります。これは、協定を結んだ国同士で、ある品目について関税を撤廃もしくは減免を約束したもので、大きなものでは20%~40%以上もの関税がなくなったりすることもあります。100万の品物であれば、20%の関税のかかる品物の場合、客先が支払う費用は輸送関係費を除いても「100万+20万(関税)+関税以外の諸税(国によって異なる)」となります(※貿易条件・取引条件によっても異なります)。関税減免の効果が如何に大きいか、ボリュームや単価が高いものであれば容易に想像がつくかと思います。

こうした協定の適用を受ける為には、協定国の「原産品」であることを証明する必要があります。例えば、日本からインドへ輸出する物品についてならば、日本国原産の品物であるという証明書が必要です。また、これに先立ち、関税の減免を受けようとするのであれば、まずその物品が関税減免の対象となっている品目かどうかをHSコード、譲許表(関税をどのようなスケジュールで下げていくかを取り決めた表)を使って調べます。

該当するのであれば、税率を確認し、この協定を使うことで本当にメリットがあるのかを確認します。そして、実際に協定の恩恵を受けようとするのであれば、特定原産地証明書と呼ばれる、日本から輸出するものであれば、日本国原産であるという公的な証明が必要になります。

この原産品の判定方法にはいくつかの方法があり、最終的に、公的な証明書である「特定原産地証明書」は日本商工会議所から発行してもらうことになりますが、選んだ判定方法によってはこの前段階で、部材を供給したメーカーの証明書が必要となるケースがあります。

これはサプライヤー証明と呼ばれるもので、構成品がどの基準(原産地規則といいます)で原産品といえるのかを示したものです。製品についての原産性、原産資格を書面で証明して欲しいといわれた場合は、このケースの場合もあります。(※このメーカーが独自に発行するサプライヤー証明を作るにあたっては、これらの原産品の判定の記録、根拠などを記した書類は相手国から日本の経済産業省を通じて照会があった場合は、提示する必要がありますので、保存しておくことが求められます。)

もう一つは、自社製品をそのまま商社等の取引先が海外へ輸出しているケースで、原産品であることを証明して欲しいといわれる場合です。この場合は、メーカーとして日本商工会議所に原産品判定を所定の手順を踏んだ上で依頼し、この証明書を輸出者が使ってもよいとする「同意通知書」を発行することで輸出者が特定原産地証明書を使うことが出来るようになり、EPAなどの適用を受けることができるようになります。

なお、特定原産地証明書は、「輸出者」か「生産者」にしか発給申請が許されておらず、輸出者が行う場合は生産者と同等の情報が入手可能であるという前提となりますので、これは主としてメーカーの仕事となります。