TPPの重要5品目の関税率

TPP交渉において自民党が聖域として、関税率の低減を行わないとしている品目を重要5品目として挙げており、具体的にはコメ、麦(小麦)、牛肉・豚肉、乳製品、砂糖・粗糖とその作物(サトウキビ等)の5つの品目となります。これら5品目での日本の関税は下表の通りになっています。関税率は、実際にはHSコードの4桁分類である「項」や6ケタの「号」だけでは決まらず、タリフラインと呼ばれる単位までブレイクダウンする必要があり、その場合、重要5品目というのは合計で、586品目になります。日本には9018品目のタリフラインがあるため、関税率もこの数だけ設定することが可能です。

日本の重要5品目の関税率

日本の重要5品目の関税
品目名 HSコード 関税のかけ方 関税率(関税額)
米(コメ) 1006項 従量税に調整金を加算する方式 kgあたり341円(WTO協定税率49円/kg+調整金292円/kg)
麦(小麦) 1001項 日本政府が行う国家貿易にて輸入し、政府が製粉会社に売却。実質、民間での輸入は不可能。従量税のもの、従価税のものがある。 種類により、WTO協定税率55円/kgもしくは20%
牛肉・豚肉 1602項 牛肉は従価税、豚肉は金額により差額関税、従価税、従量税のいずれか。 牛肉は38.5%の従価税。輸入量が急増した場合は、50%まで引き上げる緊急措置が可能。豚肉の差額関税は世界でも類を見ない特殊な関税。批判も多い。分岐点となる基準価格を定め、輸入価格がそれよりも高い場合、低い場合とで税のかけ方を変える方法だが、輸入価格を意図的に調整することで、実際の相場とは関係なく、高関税が発生しないようにすることができる。
乳製品 0401、0402、0403、0404、0405、0406 種類により関税割当制度が適用されており、国が定めた量を超えると高関税となる。バターの場合、一定の量までは国家貿易で輸入。カレントアクセス輸入とも言われる枠内の国家貿易が主体。 使用目的が限定されていないものや数量限度を超えているものについては、従価税と従量税の混合。例:ヨーグルト29.8%+915円/kg、牛乳21.3%+635円/kg
バター:国家貿易(枠内):従価税35%に調整金を加算する方式民間(枠外):従価税+従量税(29.8%+1,159円/kg)
使用目的限定の民間:従価税
砂糖、粗糖(サトウキビや甜菜から抽出)とその原料作物 1701項、1212項 WTO協定税率では甘味資源作物については無税となっているが、「砂糖及びでん粉の価格調整に関する法律」により、圧倒的に高価になってしまう国産糖の生産者を守る為、外国産糖を輸入する精製糖企業等から調整金を徴収しつつ、国内農家や国産製糖企業に対しては、交付金を支給(製造コストと販売価格との差額を支給)。外国産、国産との価格差を無くしている。実質、この調整金が関税のかわりとなっている。 粗糖(71.80円/kg)や精製糖(103.10円/kg)には従量税が課せられている。

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