CIF価格とは、貿易条件の一つであるCIF条件による価格(売価)といった意味合いで使われる用語です。例えば、日本から米国にある企業へシアトル経由で物品を販売する場合で、CIF Seattleという売価条件を提示した場合、その売り手となる企業の工場から製品が出荷され、米国のシアトル港までの輸送費と保険費用が製品そのものの価格のほかに加算されたものがCIF価格ということになります。
CIFは国際商業会議所(ICC)によって制定されたインコタームズと呼ばれる貿易条件のひとつで、これは国境を越える取引でも揉め事が起きないよう、統一した解釈とルールを貿易条件に与えるために作られた条件でもあります。
具体的には、CIFといった場合、費用は輸出者と輸入者のどちらがどこまでを負担し、貨物の危険負担をどちらがどこまで見るかということを定めています。危険負担とは、貨物が破損したり、紛失したりした場合、どちらがその費用を負担するのか、ということです。通常は、貿易には保険をかけますので、その保険費用の支払い手続きをどちらがやるのかということでもあります。
なお、少しわかりにくいですが、貨物の危険負担と貨物の所有権とはまた別の話となります。
日本をはじめ、CIF価格は関税の計算においては関税評価額の基準としてもよく使われます。
関税の額を算出する方法としては、下記の式が成り立ちます。
なお、貨物に何らかの損害があったときにどちらが責を負うのかを決めた「危険負担」については、CIFの場合もFOBの場合も違いはなく、どちらも輸出港の船に積み込むまでが輸出者(売り手)がみることになります。他のインコタームズではこの危険負担と費用負担の範囲が一致するものがほとんどですが、CIFだけは違います。