WTOとTPP

WTOは世界貿易機関の略称で、貿易が円滑に進むようにルールを決めたり、各国が過度の保護政策によって貿易の妨げとなるようなことをしていないか監視したり、国家間の貿易や通商をめぐる紛争の解決を行ったりする国際機関です。貿易の自由化を進めている組織でもありますので、各国が課している関税を低減する取り組みも行っています。

WTOの加盟国は2013年12月にイエメンが加わったことで160カ国になりました。

TPPの方は、経済連携協定の一種であり、この協定を結んだ国同士のみで、関税を安くしたり、なくしたり、その他投資や人の移動、金融サービス、電子商取引、電気通信サービス、貿易の技術的な障害の撤廃などについて検討を行っています。

したがって、両者は同じレベルのものではないのですが、TPPのような経済連携協定(EPA)が活発化している背景には、WTOの役割の変化も関係しています。

もともと、貿易の自由化についてはWTOの前進であるGATTの頃から取り組まれてきており、世界貿易の中で一定の成果を挙げてきましたが、参加国の数が増え、農業を守りたい国と工業を振興したい国などその利害が一致しないようになり、一つのラウンド(交渉)で全参加国が納得できるような結論が出せなくなってきました。

特に品目ごとに関税率をどうするのかというのは、その国の産業に大きく影響する為、産業構造が異なる多数の国が同じルールとペースで貿易自由化を進めていくことが一層難しくなってきています。

こうして関税を減免するという側面における貿易自由化においては、WTOというほぼ全世界が関わる場ではなく、二国間や多国間の決められた利害関係者の間のみで、行われるようになり、FTAやEPAといった自由貿易協定や経済連携協定、また特恵貿易協定といった協定が過去にないほどに増加しています。