シンガポールのFTA

シンガポールは貿易立国であり、各国の仲介貿易のハブとしても優れた機能を有しています。通商協定の締結に関しては非常に積極的であり、ASEANの加盟国でもあるため、ASEANの締結するFTAや経済連携協定の活用も出来ます。ハブとしては、具体的にはリインボイス、バックトゥバックの双方が適用できるため、世界随一の機能を持ちます。

幅広いFTAネットワークとともに金融、流通、製造業を中心に直接投資を誘致しており、日本の直接投資先としてもASEANで最大の規模を持ちます。輸出の6割がFTA発効先という戦略的な通商政策を行っており、チリと並び、FTAでカバーする経済圏、貿易圏の広さは世界随一です。今般、EUとの間でもFTA締結合意に至り、2014年発効を目指し調整が行われています。

税制についても外資誘致のほか、企業が活動しやすくなる点を重視した制度設計となっています。

通常の関税は、アルコールなど6品目に対してのみかかり、あとは原則的に関税はかかりません。関税のほかには、物品税というものがあり、これはシンガポール内で流通する物にかかる税のことで、事実上、アルコール、タバコ、自動車、石油製品の4種類以外のものには関税はかからない仕組みになっています。

また上記のものでも、FTA協定を結んでいる国からのものや特恵関税が適用できる国からの輸入であれば、これらについても関税が低減されます。

シンガポールのFTA締結国と交渉国

シンガポールのFTAの一覧(締結、交渉、発効)
締結国、協定国、交渉国 状況
中国 2009年発効。FTA、経済連携
GCC 2006年交渉開始。バーレーン、クウェート、オマーン、カタール、サウジアラビア、UAEとの間で2008年に署名。発効待ち。
EFTA 2003年発効。FTA、経済連携
GSTP いわゆるGSP
インド 2005年発効。FTA、EPA
日本 2002年発効。FTA、EPA
ヨルダン 2005年発効。FTA、経済連携
韓国 2006年発効。FTA、経済連携
ニュージーランド 2001年発効。FTA
パナマ 2006年発効。FTA
ペルー 2009年発効。FTA、EPA
オーストラリア FTA、EPA。2003年発効
アメリカ 2004年発効。FTA、EPA
メキシコ 2000年よりFTA交渉中。現在までに第6回の会合を行っている。
TPP(Trans-Pacific Strategic Economic Partnership) 2006年にニュージーランドとの間で発効、またブルネイ、チリとの間でも同年に発効。他の参加国とは交渉中。
コスタリカ FTA。2010年署名
カナダ FTA交渉中。2001年交渉開始。2007年までに8回の交渉が行われる。現在のところ次の交渉会合は未定。
ウクライナ 交渉中。2007年にFTA交渉開始。第3回まで交渉実施済。
パキスタン 2005年よりFTA交渉中。3回会合を開催。
台湾(ASTEP) 2011年より交渉。台湾・シンガポール経済パートナーシップ協定(ASTEP)。

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