アウトアウトとは

アウトアウトは使われる業界によっても意味が変わりますが、製造業で使われる場合、「海外で製造したものを海外に販売する」といった意味に用いられることが多いです。

社内用語に近いものが各社で流用されているうちに、会社によっても何を意味するのか若干の違いが出てきているようです。

海外に多くの生産拠点、製造工場を持つ日系企業では、海外で製造したものを日本に輸入して販売したり、日本の別拠点へ中間材料となる状態にまで加工したものを逆輸入することがよくあります。これらを「アウトイン」と呼んだりしますが、「アウトアウト」とは海外の生産拠点で作ったものを海外へそのまま流す、あるいは海外の別の生産拠点へ販売する、といったことを意味しています。

業界用語のようでわかりにくいですが、アウト-インとなっている場合、冒頭のアウトが日本国外を意味しており、インが国内へ入ってくることを意味しています。つまり、「生産した場所」と「購入場所・需要地」を日本を基点にした視点で並べて表現しています。アウトアウトなら生産地も、需要地(販売先)も両方とも日本国外のため、アウト-アウトとなるわけです。商流に日本をはさむかは各社の方針によりますが、少なくとも物の移動については日本を通りません(商流面でも顧客側に日本を介するメリットがないのであれば通常は入らないかと思います)。

この用語がよく聞かれる部署や部門、職種としては、グローバルに展開する生産管理や、グローバル調達部門、生産資材や部品などを大量に扱う貿易部門などではよく耳にする用語かもしれません。

海外へ生産拠点が増えてくると、その拠点から何を調達し、どのように販売していくのか、あるいは生産拠点で用いる生産資材の調達面においても拠点間の物流を最適化していく必要性が高まってきます。一箇所、一カ国にすべて集中させるやり方は割りにあわなくなってきているため、物流コスト、関税コスト、リードタイム、各国規制情報などを総合的に見て、各国間に存在している生産拠点間における物品のやり取りや、生産拠点-顧客への物流についてももっとも競争力が高くなるよう、都度検討を行っていく必要があります。

製造業の形態にもよるのですが、海外での生産拠点や製造工場のほうが多い日本企業では、アウトアウトの物流や取引のほうが額が大きくなり、日本にある本社で検討を行うスタッフたちも、アウトアウト間の検討事項や懸案事項に多くの時間を割いていることがあります。現地の生産工場、生産拠点でそうしたことが可能なスタッフが増加してくれば、日本本社での集中管理という方法も変わっていくことになり、本社スタッフの数も役割も変化していくことになります。