特定原産地証明書はPreferential country of originとなりますが、そもそも海外ではFTAやEPAで用いる原産地証明書のことを「特定原産地証明書」とは呼ばないことが多いため(少なくとも貿易に関わる実務者レベルでは)、自由貿易協定や経済連携協定を使って関税の減免を受ける場合は、どの協定についての原産地証明書なのか、明記した方がよいと言えます。
例えば、ASEAN諸国の間での貿易では基本的に無税になりますが、これにはform D(フォームD)と呼ばれる特定原産地証明書が必要になります。現地とのやり取りでは、Form Dといえばどの原産地証明書なのか区別がつくことになります。
あるいは、これが中国-ASEAN間で締結されている自由貿易協定を用いた関税の減免を行う場合には、form E(フォームE)と呼ばれる原産地証明書を使います。
他にも、自由貿易協定とは少々趣旨が異なりますが、先進国が開発途上国からの物品を輸入する場合にその輸入関税をなくしたり減らしたりするGSPと呼ばれる仕組みがありますが、これにはform A(フォームA)と呼ばれる原産地証明書を使います。
日本が結んでいる経済連携協定の原産地証明書については、協定の名前を言って説明した方がわかりやすい場合もあるものの、以下の表のような言い方があります。
協定対象国 | 名称、略称 |
---|---|
ASEAN内 | form D |
中国、ASEAN | form E |
GSPで用いられる特恵原産地証明書 | form A |
日本、タイ | form JTEPA |
ASEAN、日本 | form AJ |
日本、ベトナム | form VJ |
ASEAN、インド | form AI |
日本、インドネシア | form JIEPA |