関税割当制度

関税割当制度は、ある数量までの輸入であればその製品に関税をかけなかったり、低税率にしておき、輸入をしやすくし、決められた数量を超えた場合には高い税率を課して、国内へ入ってくる製品・物品の「量」をコントロールするタイプの関税制度です。英語ではtariff quota(タリフクォータ)とも呼ばれます。

国内における産業の保護と、市場への供給量のバランスをとった制度で、他国にも同様の制度を適用している例は多数あります。

一見似たものにEU諸国で採用されている関税賦課一時停止措置がありますが、こちらは、関税を一時的にかけない品目を決め、ある一定の期限が決まっているものの、輸入量に関する制限がありませんので、目指すところは同じ制度ではありますが、国内に及ぼす影響は異なります。

日本では関税割当制度が適用されている対象品は20品目あります。

関税率については、関税定率法によって規定されていますが、この制度が該当する品目については、「関税割当制度に関する政令」も参照する必要があります。こちらの政令のほうで、毎年、品目ごとに低関税率を適用することができる数量の限度が公開されます。

例えば、革靴の例を見てみます。
HSコードでいう6403.20は、「本底が革製で、かつ革製のストラップが足の甲、親指のまわりにかかっているような履物」(いわゆる革サンダル)が該当しますが、「共通の限度数量」の名称で先の政令に定められている数量以内であれば、関税率は24%となりますが、これをオーバーしている場合、60%か1足あたり4800円のいずれか高い方が適用されます。

この革靴のカテゴリーの場合、平成26年3月末までであれば、政令により、この共通の限度数量が12,019,000足となっています。

関税割当を利用する場合は、関税割当申請書をはじめとする書類を所管する官庁に提出しておく必要があります。毎年、担当している官庁から、関税割当を行う物品(区分や割当枠の発表、申請日、申請時間など)の公表が行われます。割り当ててもらえる数量は、新規申請者と、継続利用者とでも異なります。この制度を利用した輸入には、関税割当証明書が必要になります。