原産地証明書は目的によって種類があるため、固有の名称を用いて識別することがあります。日本でForm Bといった場合、FTA協定、EPA協定などで用いる特定原産地証明書ではなく、通常の原産地証明書を意味します。つまり、L/Cや輸出国の法令により原産性を証明する為に使う一般の原産地証明書です。各地の商工会議所で発行してもらうことができます。
なお、これとは異なり、関税の減免のために使われる特定原産地証明書は所定の要件を満たし、手続きを経ることで日本商工会議所から発行してもらうことが出来ます。
原産地証明書は目的によって種類があるため、固有の名称を用いて識別することがあります。日本でForm Bといった場合、FTA協定、EPA協定などで用いる特定原産地証明書ではなく、通常の原産地証明書を意味します。つまり、L/Cや輸出国の法令により原産性を証明する為に使う一般の原産地証明書です。各地の商工会議所で発行してもらうことができます。
なお、これとは異なり、関税の減免のために使われる特定原産地証明書は所定の要件を満たし、手続きを経ることで日本商工会議所から発行してもらうことが出来ます。
Form AIはあまり日本では耳にしませんが、インド-ASEANの間で締結されている自由貿易協定を使って物品を輸出入するときに必要となる原産地証明書です。
インドもASEAN諸国との間では、タイ、マレーシア、シンガポールとも自由貿易協定を結んでいますので、税率や条件を調べて、より有利なものを使うことが出来ます。比較検討の結果、インド-ASEANの協定を使う場合には、このフォームAIの発行が必要となります。
通常、白のA4用紙に印字され、有効期間は12ヶ月です。保存する必要がある期間も同様に12ヶ月です。
日本とASEANとの間で締結したEPA(経済連携協定)を使う場合に必要となる原産地証明書を、特にフォームAJと呼ぶ場合があります。
日本はASEANとの他、タイやベトナムなどASEAN諸国とも個別にEPAを締結しているため、この日本-ASEAN協定を適用するかどうかは、個別の協定と税率を見比べて、より関税が安くなる方を選ぶことができます。例えば、日本からタイへ物を輸出する場合、日本-タイ協定を使うのか、日本-ASEAN協定を使うのかをあらかじめ税率や適用に際してのルール(原産地規則など)を確認し、より有利な方を選ぶことができるということです。
フォームAJを使うということは、日本-ASEANとの間のEPA、通称「AJCEPA」を使うということになります。この原産地証明書をもって、他の協定用としては使うことは出来ません。
ASEAN、オーストラリア、ニュージーランドの間で締結されている地域間FTAであるAANZFTAを使って物品の輸出入を行うときに必要となる原産地証明書をform AANZと呼ぶ場合があります。
ASEANと他国との間で自由貿易協定(FTA)を締結した場合、実際にその協定が有効となる「発効日」は国ごとに違いがあります。このため、ASEANとしては締結したものの、未発効で使うことができない状態の国もあります。このAANZFTAにもついても、インドネシアの発効が遅れていましたが、2012年に発効となり、この協定を締結した全ての国同士の間で本協定を使うことができるようになりました。
韓国とASEANの間で結ばれている自由貿易協定を使って物品を輸出入する場合に必要になる原産地証明書のことを、form AKと呼びます。
自由貿易協定はどれも決められた手続きに従って必要な書類を提示しないと、両国間で関税の減免などのメリットのある協定を結んでいても適用されません。
フォームAKは、A4サイズの白色の紙に印字され、有効期間は通常6ヶ月です。またこの書類は3年の保存義務がありますので、物品の受け渡しが終わったからといってもすぐに捨ててしまうのは問題があります。
フォームEは中国とASEAN間で締結されている協定を適用して関税の減免を受けた貿易を行う際に必要な原産地証明書のことです。
ACFTA(中国-ASEAN)は、中国に生産拠点を設ける会社の増加と同時に関心の高まってきた協定です。
フォームEは、通常A4サイズで、茶色や緑色の紙に印字されます。有効期間は1年で、保存期間も同様に12ヶ月と義務付けられています。
フォームAは一般特恵関税を適用させるための特別な原産地証明書です。
一般特恵関税とは、開発途上国からの物品に対して適用される特別に低く設定された関税率で、GSP(Generalized System of Preference、一般特恵関税制度)がその根拠となっています。
GSPの歴史は昨今のEPAやFTA等よりも古く、1968年にUNCTAD(国連貿易開発会議)で制度として立ち上がり、その主目的は開発途上国の貿易を促進させ、輸出所得を増やし、貧困解消の一助とすることにあります。日本では1971年に創設され、現在多くの国で制度として確立されています。
どの国をGSPの対象国とするかは、各国の規定によるため、日本ではGSP対象国となっていても、例えばEUでは対象外という事もあり得ます。
また、このGSPでは対象国ごとに品目についても一律全ての国に同じように適用させているわけではなく、センシティブ品目をはじめ、対象外となる品目もあります。
日系企業でもGSPの制度を利用した貿易は行われており、これは日本へ輸入する品物だけでなく、例えばタイにある工場から、EUへ輸出する際にはEUのGSPを利用することで関税の減免を図ることができます。
日本の場合、EPA税率と一般特恵税率の双方が利用できる場合、例えばベトナムなどでは、EPA税率とGSP税率が同じか、EPAによる関税率のほうが安い場合は、GSPは適用できない決まりになっています。
逆に、GSP税率のほうがEPA税率よりも安い場合は、GSPの適用が可能です。ただし、この場合は高いEPA税率を選びたければ、選ぶことは出来ます。
カンボジア、ミャンマー、ラオスといった国は、LDCに指定されている為、GSP税率はさらに安い税率である特別特恵税率を適用することも出来ますが、これは利用者側でどちらでも好きな方を選ぶことが出来ます。
Form Dとは原産地証明書の種類の一つで、ASEAN諸国間での貿易の際、ATIGA(ASEAN物品貿易協定)と呼ばれる自由貿易協定を活用すると関税がほぼゼロとなりますが、この適用に必須となる原産地証明書を特にform Dと呼んでいます。
原産地証明書には目的や使う協定によっていろいろな種類のものがあるため、form Dと呼ぶことでどの証明書なのか特定することができます。
日本では、原産性を証明する通常の一般原産地証明書と、FTAやEPAといった協定による関税の減免を受ける為に使う「特定原産地証明書」を分けて呼称しますが、ASEAN諸国間やアジア諸国では特に一般と特定の区別をせず、原産地証明書はすべてCO(Certification of Origin)と呼ぶことが多いです。この際、どのCOなのか、つまりどの目的に使う原産地証明書なのかを区別するのに、フォームDといった言い方は便利です。
通常、A4サイズで、白色の紙に印字されています。有効期間は1年で、3年の保存義務があります。
日本からの特定原産地証明書にはEPA協定の適用を受けようとする物品のFOB価格を記載せずにすみますが、ASEAN諸国間でのAFTAを用いて関税の減免を受けようとする場合に必須となる原産地証明書「フォームD」では、FOB価格が表示されてしまいます。輸出者のマージンがわかってしまうことから、改善要望が出ており、現在FOB価格を記載しないでもすむよう調整が続けられています。
日本は隣国の韓国に比べ、EPA(経済連携協定)、FTA(自由貿易協定)交渉の遅れが指摘されていましたが、2013年にはTPP、RCEP、EUといった大きな貿易圏、経済圏との交渉がスタートしました。既に発行済みの協定内容について、日本-インド、韓国-インド間の経済連携協定を比較しても、関税撤廃のスケジュールで日本が不利な品目が目立ち、交渉力の弱さも指摘されていますが、日本はもともと工業製品の多くについて輸入関税を撤廃しているため、品目ごとに進めていく関税撤廃・減免の交渉においては、有力な交渉カードが農産物を除くとあまりないという現状があります。
一方で、ASEAN、タイ、インドネシアなど日系企業の進出が進むアジア諸国との間ではすでにEPAが発効されており、多くの品目で関税の減免を受けることが可能です。
日本企業の多くが、海外に量産拠点を移した為、量産の輸出そのものが日本からではなく、現地量産生産工場から行われていることもあり、日本が経済連携協定を結んでいなくても取引国間でFTAやEPAの恩恵を受けることが出来るのであれば、コスト削減効果をもたらします。
例えば、ASEAN諸国間の取引では基本的に関税を考慮せずに価格設定を行うことが多いですが、実際にASEAN間の関税減免のためのスキームである「ATIGA」を使わなかった場合は、10数パーセント前後かかる品目が多いことから、年間1億円の取引をしているのであれば、ざっと1000万円以上は関税として支払う計算になります。FTA、EPAの活用が時にビジネスの成否を分けることすらあります。
日本のEPAを取り巻く環境としては、2012年末に交渉開始が宣言された日中韓のEPAや、2013年交渉参加後もその是非が問われているTPP、2013年に交渉開始をはじめ早期締結を目指す日本-EUとの経済連携協定、同じく2013年に交渉開始したアジア圏の大貿易圏となる多国間のRCEP(ASEAN、日本、中国、韓国、インド、オーストラリア、ニュージーランドの16カ国)など、ここ1年で特に活発な動きが出てきており、日本の自由貿易協定、経済連携協定の歴史の中では大きな節目とも言えます。
日本側は複数の利害関係国と同時に交渉を行うことで、自国の交渉を有利に進めるという狙いがありますが、これには賛否両論あります。
韓国もEUとの交渉の際、米国との交渉をちらつかせ、EU側の危機感を煽ったとも言われていますが、交渉方針がかなり明確であったという違いがあります。また、内需が日本に比べて極端に少ない韓国とは比較にならないという意見もありますが、同国のように捨てるものと守るものを明確にして強く交渉することがよいかどうかは今後も議論の余地がありそうです。
なお、日本では貿易自由化に関わる協定はFTAではなく、すべてEPAとなります。関税の自由化にとどまらないより包括的な内容で二国間もしくは多国間で具体的な数字として見えてくる経済的な結びつきを強めるというものになります。
日本では2013年12月現在、13のEPA協定が発効済となっており、交渉段階の協定は8つになります(日中韓、日本-EU、RCEPを入れた場合)。利用頻度が多い協定といえば、日本-ASEANや日本-タイなどが上げられます。
参考:日本の特定原産地証明書の発給件数(経済産業省、PDF)
経済連携協定は、発効済の全協定をあわせておおむね月間12000件から16000件の利用状況です。多い順に見ると、タイ、インドネシア、インド、マレーシアと続き、一番少ないものがブルネイ(毎月1桁台)です。適用を受けるための専用の証明書となる特定原産地証明書は、インボイスの記載単位にあわせて発行することが多いため、一通に複数品目の適用を行うことが多いです。したがって、これは貿易の回数と考えたほうが近いかもしれません。
輸入時には関税のほかに消費税5%。
現在、TPPとTTIP(米-EU)のFTA実現のために注力しています。
オバマ政権は輸出倍増を政策に掲げており、関税障壁の撤廃を含む貿易自由化の直近の成果としては2012年の米韓FTAやコロンビアとのFTA協定があげられます。
現在、米国は世界一の経済大国ではありますが、貿易協定から見ると他の巨大な経済圏・貿易圏と積極的に貿易自由化や経済連携を進めているというわけではなく、むしろ自由貿易協定については経済規模に比して遅れているという印象がするかもしれません。米財界、産業界からはEU、日本といった大きな経済圏との交渉を望む声が強くありますが、現在のところ両者とも実現には至っていません。
オバマ政権は2期目に入り、一般教書演説にてTPPの実現と、米国-EUの各経済圏を巻き込んだ「環大西洋自由貿易協定(TAFTA)」の実現に意欲を見せ、2013年の半ばにも米EUのFTA(EPA)交渉が開始する見込みとなっています。米EUとの間で自由貿易圏が完成すると、世界全体の貿易量の約3割を占めることになり、世界最大の自由貿易圏となります。この協定は他の協定や交渉中の協定にも影響することは必至です。
現時点では、アメリカ合衆国が現在交渉中のFTA、EPAはTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)のみですが、上記のように各国を取り巻く状況はめまぐるしく変化しつつあります。
アメリカが今まで締結してきた貿易協定そのものは、基本的に協定国間での経済的な利益に資するものですが、米国の締結する協定の中には特に政治的な理由や安全保障上の思惑も見え隠れするものもあります。米国の場合、包括的な経済連携を目指す内容の協定が多い為、FTA交渉の前段階で、二国間投資協定(BIT)や貿易投資枠組協定(TIFA)を締結する傾向がありますが、国によってはこのステップを踏まえないこともあります。
米国のFTAは、関税撤廃やサービスの自由化のみならず、投資、知的財産権、政府調達、透明性及び貿易相手国の租税や規制制度から生じる非関税障壁も含む包括的な内容で、どちらかといえばEPAに近い性質を持つものです。
米国は多国間協定としてはNAFTA(米国、カナダ、メキシコ)、CAFTA-DR(中米5カ国・ドミニカ)、二国間協定としては、12カ国との間でFTAが発効しています(合計20カ国との間で自由貿易協定)。いずれも米国との政治的な結びつきの強い国でもあります。
米国-オーストラリアFTA 2005年1月発効
米国-バーレーンFTA 2006年1月発効
米国-カナダ-メキシコ(NAFTA) 1994年発効。世界最大の貿易圏。
米国-チリFTA 2004年1月発効
米国-コロンビアFTA 2012年5月発効
米国-イスラエルFTA 1985年9月発効
米国-ヨルダンFTA 2001年12月発効
米国-韓国FTA 2012年3月発効
米国-モロッコFTA 2006年1月発効
米国-オマーンFTA 2009年1月発効
米国-パナマFTA 2012年10月31日発効
米国-ペルーFTA 2009年2月発効
米国-シンガポールFTA 2004年1月発効
中米5カ国・ドミニカ共和国とのFTA(CAFTA-DR)
中米5カ国の内訳はエルサルバドル、グアテマラ、ホンジュラス、ニカラグア、コスタリカ。発効時期が国により異なり、エルサルバドル(2006年3月)、ホンジュラス、ニカラグア(以上06年4月)、グアテマラ(06年7月)、ドミニカ共和国(07年3月)、コスタリカ(09年1月)となっている。
TPP(環太平洋パートナーシップ協定)交渉中
米国-EU(NAFTA、EU、EFTAを巻き込んだ環大西洋自由貿易協定(TAFTA))交渉開始予定
米国-エクアドルFTA交渉
2004年5月に交渉開始。2006年以降交渉中断中。
米国-タイFTA交渉
2004年6月交渉開始。クーデター後、2006年から交渉中断。
米国-南部アフリカ関税同盟(SACU)
南アフリカ、ボツワナ、ナミビア、レソト、スワジランド。
2003年交渉開始、2006年交渉中断。