原産地規則とは、品物がどこの原産品かを定めたルールと、その原産性を証明する方法について取り決めたルールのことです。EPAやFTAの協定を活用して関税の減免などの適用を受けようとする場合に必要となるルールでもありますが、一般に物品が「どこの国のものか」を定める基準になるもので、複数のものが存在します。ある物品について、「どういう条件を満たせば、その国の原産品といえるのか」を決めるためのルールとも言えます。
EPAやFTA、特恵貿易協定などは、すべて協定を結んだ国同士の経済関係の強化を目的としています。有体に言えば、両国の間で貿易が活発化し、双方の国が経済的により豊かになることを狙ったものであるので、協定を結んでいない国が労せずにこの協定を利用出来ないようにする必要があります。このため、原産品に関するルールが肝要となります。
これは、言い換えればどういうものが「原産品」となり、その国同士の貿易協定を利用することができるようになるのかを示したルールです。原産品の定義や原産品の判定基準と言い換えても良いかも知れません。原産品のルールを満たして、その物品が協定で関税を減免することがタリフスケジュール(譲許表)に記載されているものについてのみ、関税の減免申請が可能となります。
多くの協定で使われている主要な原産地規則としては、以下の3つがあり、特に「関税分類番号変更基準(CTCルール)」と「付加価値基準(VAルール)」はほとんどのEPAやFTA協定で適用されています。協定によって、この双方のルールを満たしておかねばならないものや、どちらか一方でもよい場合があるので、適用を検討している協定の原産地規則についてはよく読み込んでおく必要があります。またそれぞれの基準には協定によっていくつかの種類があるので、どの基準が採用されているのかも協定ごとに調べる必要があります。
原産地規則は協定条文の中で、「Rule of Origin」の章に書かれており、略してROOと表記されることもあります。
主な原産地規則(原産品を決めるための基準)
なお、FTAなどの貿易協定は関係なく、一般原産地証明書の「原産」の基準は、他国の原産性をもつ材料を用いていても自国で最終加工している完成品(対象となる品物)のHSコードと、その材料のHSコードが4桁(項)のレベルで変わっていればよい、というものです。HSコードの番号体系は似たものを番号ごとに分類しているため、この番号が変わっていればそれ相応の加工をしたとみなす、という理屈です。