譲許表(Tariff Schedule)、タリフスケジュール

譲許表は正式には「表」と呼ばれるそうですが、別名タリフスケジュールともいいます。FTA協定、EPA協定では膨大な貿易品目のうち、協定を締結している国・地域で、どの品目について関税を撤廃あるいは削減するのかを取り決めています。これによって協定を結んでいる国が互いに自国で保護が必要な品目を選ぶことができ、品目によっては数年間かけて関税率を低減するといったことができるようになってます。品目はHSコードで同定するため、EPA税率を調べようとする品目のHSコードをまずは調べておくことが必要です。品目には、ノーマルトラック、センシティブトラック、エクスクルーシブリストなどの括りがつけられる場合があります。ノーマルトラックは、通常のスケジュールで関税を減免、撤廃しておく品目の総称で、センシティブは低減に制限があり、特別な配慮が必要なもので関税の低減や撤廃が難しいものにつけられ、エクスクルーシブは関税減免の除外品です。

全品目について即時関税を撤廃する場合はこの譲許表が存在しないこともあるため、協定ごとに確認が必要です(日本シンガポール経済連携協定では即時撤廃のため無し)。

FTA/EPAにおける関税の減免は、品目によって概ね以下のパターンに分けることが出来ます。何年かけて撤廃するのか、という部分にしても品目によって異なる年数を設定していることも多いため、現在のEPA税率、FTA税率を確認する為には、この譲許表(タリフスケジュール)が不可欠となります。

  • 協定の発効時に即時撤廃されるもの
  • 毎年均等に削減していき、設定した年数後には完全撤廃されるもの
  • 関税率の低減が不均衡になっているもので、設定された年数後に削減か撤廃されるもの
  • 関税割当が設定されているもの(一定の数量までは無税か低い税率を適用し、その数量を超える輸入分からは高税率となるもの)
  • 発効後、一定期間が経った後に再交渉が予定されている品目で、現在は関税率の変更がないもの
  • 除外品目と呼ばれるもので、関税率に一切の変更を加えないもの

協定によっては、上記のうちのどれに該当するのかをアルファベット記号で表記することもあります。この場合、これらの対照表が協定の附属書などについています。

FTA・EPA活用を行う場合、この譲許表を調べることで、輸出もしくは輸入したいと考えている物品の関税率と今後の削減スケジュールを確認することができます。

原産地規則と並び、この譲許表は実務でFTA、EPAを活用する場合の中心となる規定と言えます。