別名、De Minimis(デミニマス規定、僅少、DMI)と呼ばれるルールです。日本-スイス経済連携協定では、「Tolerance」(許容限度)とも呼ばれ、協定によって呼び方が若干異なりますが、原則は同じです。
この原産地規則は、単独で用いられるものではなく、関税分類番号変更基準の例外規程、いわゆる救済規程の一つとして使われる規程です。原則として、関税分類番号変更基準では、使われている構成品のすべてについてHSコードが変わっていることが必要条件になっています。ただし、工業製品の多くは複雑化しており、高度な技術を用いて国内で加工されている構成品や部品を輸出する場合でも、HSコードが完成品と同じに分類されてしまえば、このルールを使うことが出来なくなります。
この僅少の非原産材料に関するルールでは、例えば、CTCルールを満たすことが出来ない非原産材料の価格割合が一定以下、あるいは重量が一定以下であれば、このCTCルールから除外して検討することが出来るというものです。工業製品の多くは、価格が10%に満たない場合は、その非原産材料の部材についてはHSコードが完成品と変わっていなくとも、CTC基準が使えるというものです。
デミニマス規定はHS番号によっても異なる基準を設けていることが多いため、協定ごとに個別に調べる必要があります。例えば、日本とインドネシアとの間の協定では、HSコードのうち、28類~49類、64類~97類については価格の10%までが例外扱いにできる許容範囲で、50類~63類は重量が7%までと決められています。この場合、例えば、事務所において使用する種類の金属製家具は9403.10のHS番号が割り当てられていますので、94類となり、この家具を作るのに使った非原産材料のうち、10%以下の部分については、関税番号変更基準から除外することが出来る、という具合です。