本来支払うべき関税をごまかし等で意図的に支払わないようにすることは違反行為となり、罰せられます。稀に、梱包をごまかして欲しいといった依頼もあるかもしれませんが、インボイスに記載のない品物を同梱することは明らかな密輸であり、きちんと断る必要があります。
合法的に関税がかからないようにするには、関税法や関税減免のための制度を理解して行う必要があります。
関税額は以下の計算式で算出されるため、関税を下げる為には、関税評価額が下がるか、関税率が下がるかの二択です(双方同時のケースもあります)。
関税評価額 x 関税率 = 関税額
関税評価額というのは、通常CIF価格に加算要素と呼ばれる物品の金額には入っていないものの、申告時に含めねばならないコストのことで、この合計に対して、関税率がかけられます。
関税評価額(課税評価額)を下げる方法
関税評価額を本来の価格ではなく意図的に下げる行為をアンダーバリューとも言いますが、これも明らかな違反行為です。合法的に関税評価額を下げる方法については主にグループ会社間や関係会社間の取引では用いられることもありますが、通常の売買取引では現実支払価格と連動するため、加算要素をどうするのか、ライセンスやロイヤリティを貿易条件に含めるのかといった部分を見ていくことになります。
貿易外の金銭授受が加算要素とならないようなスキームを構築し、それらの受渡しは別の税として収めることで(この税率が関税率よりも高いようならばかえって損することにもなります)、物品の評価額自体をもとから低くする手法ですが、物品と連動しない費用とするため、別の税を支払う必要が出てくることもあり、メリットがあるかどうかは輸入国側での関税率との兼ね合いになります。場合によっては減免の効果が出にくかったり、出ないこともあります。
関税率を下げる方法
一方で、関税率を低減する方については、関税評価額が高いものほどに効果が大きく見えてきます。経済連携協定、自由貿易協定、関税同盟、特恵貿易協定、GSPといった仕組みを用いて輸入関税を減免する方法ですが、いずれの場合も当事国の「原産地」であることを証明する専用の原産地証明書が必要となり、原産地とするためのルールや定義も協定ごとに違います。